CSファイナル阪神戦で最終打者となったDeNA・藤田一也 [写真=萩原孝弘]

◆ 9回は満塁のチャンスを作るも…

 最下位からの2位、見えた“横浜反撃”の狼煙。ヤクルトと再び対峙するために臨んだクライマックスシリーズのファーストステージは、ホームで阪神に1勝2敗で敗退が決定。

 1勝1敗で迎えた最終決戦の第3戦は終盤まで粘りを見せるもあと一歩及ばず、DeNAは躍進の2022年を終えた。

 先発の濵口遥大が立ち上がりから苦しみながらもなんとか粘り、打線は2回に宮﨑敏郎のソロで先制。3回には一死からの四球に相手のミスも重なって一死二・三塁のチャンスを作ると、相手の暴投で労せずして加点。2-0とリードを広げた。

 ところが4回、濵口が二死から佐藤輝明に一発を浴びて1点差とされると、6回には北條史也と近本光司に連続二塁打を浴びて同点。ここまででマウンドを降りる。

 代わった入江大生は大山悠輔の犠打が捕邪飛となって幸先よくアウトを奪うも、続く原口文仁にフルカウントからの154キロをレフトに運ばれ、これが逆転の適時打。2-3と相手にリードを許してしまった。

 以降は両軍のリリーバーが踏ん張り、1点差のまま9回へ。

 引き分けでも勝ち抜けのDeNAは、先頭の牧秀悟がイニングを跨いだ湯浅京己の152キロをレフトへ。執念の安打で望みをつなぐと、宮﨑の三振を挟んでネフタリ・ソトが四球、代打のタイラー・オースティンもセンター前に弾き返して一死満塁の大チャンス。

 ベンチはここで40歳の大ベテラン・藤田一也を代打で起用。球場のボルテージも最高潮に達した中、初球のまっすぐに狙いを定めて仕掛けるも、打球は無情にも前進守備のセカンド正面。4-2-3とボールが渡り、ホームゲッツーで万事休す。2-3で敗れ、今季のDeNAの戦いが終わった。

◆ 指揮官「声援に応えられなかった」

 藤田も最後は頭から一塁へ飛び込むも、塁審のコールはアウト。阪神のナインがマウンドで歓喜の輪を作る中、ベテランは一塁ベース上で倒れたまましばらく起き上がることができなかった。

 試合後、三浦大輔監督も「最後の最後まで全員で食らいついて行けたと思う」と絞り出すように第一声。

 「3日間ともすごい声援、すごい応援の中で戦えた。その応援に応えることができなかった」と悔しさをにじませた。

 悔しい敗戦となったが、「選手たちは本当に必死にやってくれました。その中でもう1点が取れなかったですが、よくやってくれた。精一杯戦ったと思います」とし、誰一人として責めることはしなかった。

 最後はファンに向けて「今までにない手拍子の大きさ、球場全体を盛り上げて雰囲気を作ってくれました。その雰囲気の中で戦えたことは幸せでした」と、無形の力に感謝の念を表した指揮官。

 掴んだ手応えと最後に味わった無念を胸に、来年の巻き返しを目指す。
 

取材・文=萩原孝弘

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