「つなぐ時はつなぐ」意識
ソフトバンクとのクライマックスシリーズ・ファイナルステージを制し、22日(土)からはじまる日本シリーズへの出場権を獲得したオリックス。
CSのMVPは主砲の吉田正尚に譲る形となったが、短期決戦の中で負けじと印象的な活躍を見せたのが杉本裕太郎だ。
昨季は本塁打王に輝く大ブレイクを果たし、チームを優勝へと導いた大砲。ところが今季は序盤から不振に苦しみ、105試合の出場で打率は.235。本塁打も前年から半減の15本と低迷した。
それでも、CSでは4試合に出場して打率.385、1本塁打で5打点と見事な活躍。昨年見せた頼もしさを取り戻しつつある。
中嶋聡監督はその要因について「ボール球に手を出さないようになった」ことを挙げたが、本人も「悪い時はなんでも振っていた」と振り返っている。
そのうえで、今回のファイナルステージでは「“全員で勝つ”と言っている通り、決めるところは決めるし、つなぐところはつなぐ意識がある」とフォアザチームの精神で臨んでいたことを強調。
第3戦と第4戦は無安打に終わったものの、「四球を2つ取れて良かったなと思います」とし、安打が出ない状況の中でも冷静にチームに貢献できた点を喜んだ。
「レギュラーシーズンでいっぱい悔しい思いをしたので、なんとかCSでやり返したいと思っていました」と、このポストシーズンにかける思いは人一倍強い。
徐々に上がってきている状態に手応えを感じつつ、「ボール球を見極められる打席は良いですが、まだまだ見極められない時もある。日本シリーズで頑張ります」と、最後の大舞台での“全開”を誓った。
ヤクルト・村上宗隆との“本塁打競争”についても話を振られたが、「ホームランは狙わないでコツコツやっていく」とのこと。日本シリーズの舞台でも「決める時は決める、つなぐ時はつなぐ」に徹する考えを示している。
最後は「昨年はピッチャーがすごく良かった。チャンスで抑えられた場面もあったのでやり返したい」と力強く決意表明。チームと同様に個人としてもリベンジをかけた戦いに挑む。
取材・文=どら増田