「皆様にしっかり報告できるように頑張っていきたい」
日本ハムの杉谷拳士選手(31)が28日、今季限りでの現役引退を発表した。
杉谷は入団テストを経て、帝京高から2008年のドラフト6位で日本ハムに入団。プロ14年間で規定打席に到達したことはなかったが、内外野を守れるユーティリティープレイヤーとしてチームを支え、球界屈指のムードメーカーとしても活躍。
生え抜き野手最年長として臨んだ今季は、51試合の出場で打率.165(97-16)と低迷し、「面談を重ねて、自分の将来のことだったり、ファイターズの将来のこと、身体のこと、総合的な判断をした上でこのような形になりました」と電撃引退を表明した。
会見冒頭で「引退会見という言葉は使いたくありません。前進会見ということで、これからの人生を前進していきます」と語り、「“プロ野球選手・杉谷拳士”は終わりですけども、今後に向けて人生まだまだ出発したばかり」とセカンドキャリアを見据える。
引退後は独立し、「国内外問わずいろんな形でスポーツの勉強をしようと思っていましたし、育成だったりにも興味があったので。野球だけとは言わずに、アメリカだったら野球、バスケ、ヨーロッパだったらサッカー、オーストラリアだったらクリケット、ラグビー、いろいろなところに視野を広げて、スポーツ界に恩返しをしようと思っています」と野望を明かした。
アスリート人生にはピリオドを打ち、「将来は北海道、ファイターズの力になりたいと思って勉強してきますので、どんな形でどういう立場で挨拶するかわからないですけど、また皆様にしっかり報告できるように頑張っていきたいと思います」と想いを口にした。
会見最終盤に栗山英樹元監督(現侍ジャパン監督)が花束贈呈でサプライズ登場すると、溢れる思いをこらえきれずに涙。かつての恩師から労いの言葉をかけられ、「これから前進しようと思っています。お世話になりました。ありがとうございました」と頭を下げた。
プロ14年で通算777試合に出場し、打率.212、288安打、16本塁打、104打点、50盗塁の成績。記録以上に記憶に残る名手は、前を向いてセカンドキャリアの一歩を踏み出した。