2008年は3人が主力に
10月28日、突如発表された日本ハム・杉谷拳士の現役引退。
同日には札幌市内の球団事務所で会見を開き、現役引退ならぬ“前進”を表明した。
ガッツあふれるプレーだけでなく、そのキャラクターでも広く愛された人気者。
杉谷は2008年にドラフト6位で指名を受け、帝京高から日本ハムに入団。規定打席に到達したことはなかったが、内外野を守るユーティリティープレイヤーとして通算777試合に出場した。14年間にもわたって現役生活を続け、ドラフト6位指名の選手としては大成功と言っていいだろう。
この年の日本ハムのドラフトを振り返ると、5位が中島卓也で、7位には谷元圭介(現・中日)の名前もある。杉谷を含め、下位指名の3人が揃ってチームの戦力となったのだ。
日本ハムのドラフト指名選手を見ると、ダルビッシュ有(現・パドレス)や中田翔(現・巨人)、さらには大谷翔平(現・エンゼルス)ら、1位で指名した選手をしっかりと球界を代表する選手に育てている印象が強いかもしれない。
だが、実は2008年のドラフトをはじめ、4位以下の下位指名選手からも多くの主力が誕生している。
今季も開花の兆し…?
杉谷らの翌年、2009年には5位で増井浩俊(現・オリックス)を指名。以降も2011年の6位には上沢直之がおり、2013年の4位は高梨裕稔(現・ヤクルト)だった。
さらに2014年の4位が石川直也で、2016年の8位は玉井大翔。投手陣を支える貴重な存在を下位で確保している。
野手でも2011年のドラフト4位で指名した近藤健介がリーグを代表するアベレージヒッターへと成長。こうした流れは、監督がビッグボスに交代しても変わりはないようだ。
今季プロ初白星を挙げた根本悠楓は2020年の5位指名。開花の兆しを見せており、ルーキーながら開幕投手を務め、いきなり55試合に登板した北山亘基も2021年に8位で指名した選手だった。
野手でも2020年の6位指名・今川優馬と、2018年の4位指名・万波中正がともに自身初の2ケタ本塁打を記録。与えられたチャンスでしっかりと結果を残した。
また、2021年の9位で指名を受けたルーキー・上川畑大悟も、遊撃手としてチーム最多の62試合にスタメン出場。こちらは下位指名どころか2021年の支配下ドラフトで一番最後に名前を呼ばれた選手であり、“下剋上”ぶりが話題となった。
一般的には、ドラフトで上位指名を受けた選手の方が与えられるチャンスも多くなり、それに伴って活躍する確率も高くなる。
それでも、ドラフト4位以下の指名からこれだけの主力選手が誕生した歴史があり、かつ今季も開花の兆しを見せている選手が多くいたという事実は、今年のドラフト会議で指名を受けた選手たちにとっても心強い限りだろう。
来年から本拠地を札幌ドームからエスコンフィールドへと移す日本ハム。監督が変わっても流れが変わらなかったように、戦う舞台が変わっても、きっと下位指名から這い上がってくる選手は生まれるはずだ。
文=BASEBALLKING編集部