日本シリーズ史上初の快挙
11月に入り、本格的なストーブリーグの到来を迎えたプロ野球界。
侍ジャパンが強化試合を戦っている一方で、多くの選手たちは来季に向けた秋季練習に打ち込んでいる。
10月30日(日)、オリックスの26年ぶりとなる日本一で幕を閉じた『SMBC日本シリーズ2022』。
その日行われた第7戦で、日本シリーズ史上初となる「初球先頭打者本塁打」の偉業を成し遂げた男の姿も高知県にあった。
オリックスの高卒4年目内野手・太田椋。大舞台で大きな仕事を成し遂げた21歳だが、浮かれている余裕はない。来季こそはレギュラーの座を掴み取るべく、優勝パレードが終わってすぐに秋のキャンプに合流した。
「シーズンを通して活躍できるように」
「1番・一塁」でスタメンに抜擢された第6戦で2安打の活躍を見せると、翌日の第7戦も同じポジションでスタメン出場。ヤクルト先発のサイスニードが投じた第1球目の速球を、迷いのないフルスイングで弾き返した。
「なんとか良い流れを持って来られるように、どんどん思い切って振って行こうと打席に入っていました。タイミングもしっかりと合っていましたし、良い感触で打てたと思います」と振り返った一打は、そのままバックスクリーン左へ。まさに電光石火の先制劇だった。
中嶋聡監督は「積極性が欲しいところで、バンバン振っていけるバッターが欲しかった」と、1番に抜擢した理由を説明。
この抜擢について、太田は「試合前にスタメンが貼り出されるので、そこで知った」とのこと。「ちょっとビックリしましたが、やってやるぞという気持ちの方が強かった」と、前向きに捉えていたと明かす。
そんな中、「先頭打者なので、自分がしっかりとしたスイングをして“ヨシ、行けるぞ”という雰囲気を作りたかった」という言葉通り、結果は考え得る最高のものに。殊勲の21歳は「自分のスイングができて良かったです」と笑顔で語った。
日本シリーズでの活躍は「ふつうに嬉しいです。短期決戦なので、割り切って、思い切ってやれているところもあった」と語ったが、「やっぱりシーズン中にあまりチームに貢献できなかったこと。そこは本当に悔しい」と正直な胸の内を吐露。
将来を担う大型内野手として期待を受けながら、今季は前年よりも少ない32試合の一軍出場に留まり、打率は.196と苦戦。本塁打も1本しか放つことができなかった。
だからこそ、今は練習あるのみ。「来年はしっかりと、シーズンを通して活躍できるようにがんばりたい」と語り、この秋の経験を糧に来季の飛躍を誓う。
リーグ連覇と悲願の日本一。勢いに乗るオリックスが黄金期を築いていくためには、太田のような有望株が新たな柱なってチームを支えて行かなければならない。2023年がその第一歩となるのか、背番号31の更なる奮起に期待したい。