キャリア最多の出場も数字は不満?
DeNAの楠本泰史選手(27)は21日、横浜市内の球団事務所にて契約更改交渉に臨み、1290万円アップの3600万円(※金額は推定)でサインした。
プロ5年目の今季は自己最多の94試合に出場。1~3番に5番・6番と様々な打順でスタメン起用されながら、打率.252に本塁打6と打点26もキャリアハイの成績。首脳陣の期待に応えてみせた。
球団からは「オースティンがいなくても大丈夫と思われるくらい頑張ってくれ」と期待の言葉をかけられたとのこと。
今季の成績については「数字的なものには満足していなくて、途中でコロナの感染と肉離れでの離脱があった。一年間守り抜きたかったポジションで、他の人が出ているという悔しさがあった」とし、自己評価は厳しめ。
つづけて「三浦監督が使ってくれたから出られた試合数だと思っているので、自分の実力でもぎ取ったものではないと思っている。試合に出させていただけたという感覚の方が大きいシーズンだった」と振り返り、「せっかくチャンスを頂いていたのにこのくらいの数字しか残せなかった。まだまだ力が足りないと痛感している。もっともっとできるようになりたい」と目をギラつかせた。
掴んだ手応えに磨きをかける
勝負となる来季に向けて、「求められているものプラス、甘い球が来た時に長打が打てるに越したことはない。狙うわけではないですが、振る力やスイングスピードに重点を置きたいと思います」と課題を語り、このオフの目標に掲げる。
今季は7月下旬から取り組んだ“タイミングを早める”ことが功を奏し、8月は月間打率.274、9月は同.345と成績が向上。本人も「そこから自分の感覚も良くなりましたし、結果的に良い状態が続いたので、変える必要はないと自分では感じている」と手応え。
「そこを一番大事にしてオフシーズン、キャンプと過ごしたい。それをベースに作り上げていきたいなと思います」と続け、今季の経験を糧に、掴んだ手応えをよりブラッシュアップしていくことを目指す。
秋季トレーニングの打ち上げでは、三浦監督から「フルで練習をやった楠本が一番内容的にも濃かったのかなと思います」と名前を挙げられた。
「秋季練習の期間中はCSのファイナルステージや日本シリーズを見ながらご飯を食べていた。勝てなかった悔しさ、来年は負けたくないという気持ちがあったからこそ、キツいメニューにも歯を食いしばってこなしていけた」と楠本。忸怩たる思いを原動力に、来季の逆襲を期す。
そのためには、まずは個人のレベルアップが必須。「規定打席に立ちたいですし、今年よりも試合数、打席数、ヒット数とすべてでキャリアハイを出したい。そのためにはレギュラーを獲るしかないので、その気持ちだけで過ごしたい」と述べ、充実のアップ更改にも慢心はない。
不動のレギュラーの座を掴み、さらなる高みを目指して。楠本泰史が6年目のシーズンに挑む。
取材・文=萩原孝弘