カブス・鈴木誠也

◆ データで振り返る!メジャー日本人選手の2022年:第3回・鈴木誠也

 広島時代に首位打者を2度獲得。侍ジャパンでも4番の重責を担った鈴木誠也のメジャー1年目は、やや期待外れに終わった。

 昨年オフに5年総額8500万ドル(当時のレートで約100億円)の大型契約でカブスに加入。開幕から6試合連続安打、9試合目までに4本塁打を放つ適応力を見せた。

 ところが、開幕から2週間近く4割台を維持していた打率は4月末までに3割を切り、本塁打に至っては4本目を放った4月中旬から7月上旬まで3か月近くも途絶えた。

 5月下旬に左手薬指に死球を受け約1カ月間にわたって戦列を離れたが、その時点で打率は.245まで下降。それでも、開幕時に6番だった打順は2~4番を任されるようになっていた。

 若手中心のチーム事情もあって、鈴木への評価は決して低くなかったといえるだろう。

 メジャー1年目の最終的な成績は、111試合で打率.262、14本、46打点。広島時代に比べると地味な数字に映るが、打率と出塁率、長打率は300打席以上立ったチーム内の打者7人の中ではいずれも3位と安定していた。

 .262という打率も開幕当初の活躍を考えれば低い印象だが、メジャー平均の.243は上回っている。また、長打力に関しても、フル出場(162試合)換算なら20本塁打になり、1年目としては合格点といえるのではないか。

◆ 目立った「見」の姿勢

 来季に向けて改善できる点があるとすれば、もう少し“積極性”を見せたいところ。

 鈴木のメジャー1年目は、一言でいえば消極的すぎた。ストライクゾーン内に投じられた投球数に対してスイングした割合を示す「Z-Swing%」という数値は57.4%で、これは規定打席に達したMLBの打者130人のうち下から3位相当(※鈴木は規定打席未達)。つまり、かなりの確率でストライクを見送っていたことになる。

 中には当然コースいっぱいの厳しい球もあれば、真ん中の甘い球を見送ったケースもあったはず。好球必打は広島時代からのスタイルとはいえ、もう少し積極性を見せた方が長打も増えるはずだ。

 ただし、その分ボールゾーンの球に手を出す確率(O-Swing%)は25.6%と低かった。これは130人中20位に相当。チーム内では最も低い数字だった。

 ストライク、ボールに関わらず見送る確率が高かった1年目は、必然的に四球と見逃がし三振の数が多かった。

 しかし、鈴木に求められるのは走者をかえす役割だろう。2年目はより積極的な打撃で、1年目を上回る活躍に期待したい。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊・プロフィール】
1976年、和歌山県出身。大学卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。日本にファンタジーベースボールを流行らせたいという構想を持ち続けている。

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