開幕二軍スタート
ロッテの茶谷健太は春季キャンプB組スタート、オープン戦も10試合に出場して7打数0安打でアピールできず開幕は二軍で迎え、ファームでは本職のショートだけでなくセカンド、ファースト、ライト様々なポジションを守ったが、ワンチャンスを掴みシーズン最終盤は一軍でショートのレギュラーとして出場した。
昨年春季キャンプ初日に「右足ハムストリングスの肉離れ」で離脱し一軍に出場することなく2021年シーズン終え、2022年シーズンに向けて「とにかく去年は初日から怪我をしてしまって、何もしていない状態が7月の中旬ぐらいまで続いたので、キャンプの初日に100%できるように思いながら毎日過ごしていました」と燃えていた。
茶谷が主戦場にするショートとサードには藤岡裕大、エチェバリア、三木亮、平沢大河、小川龍成、福田光輝、池田来翔などライバルが多い。2月の練習試合、オープン戦から一軍に生き残るため、結果が必要になってくる。2月の練習試合で打率.190(21-4)、オープン戦でも打率.000(7-0)。開幕は二軍だった。
「結果を残すしかないと思って日々やっていました」。
開幕から打ちまくった。3月23日の西武戦から26日のヤクルト戦にかけて3試合連続マルチ安打。3月23日の西武戦では、0-0の初回二死満塁から松本航が1ボール1ストライクから投じた真ん中の143キロストレートをセンター前に適時打、1-2の4回無死走者なしの第2打席、松本が2ボールから投じた3球目の131キロの真ん中カットボールをレフトへ本塁打と、真ん中にきた甘いボールを一発で仕留めた。
26日のヤクルト戦でも0-1の2回一死走者なしの第1打席、1ボール1ストライクから吉田大喜が投じた3球目のインサイドやや真ん中寄りのスライダーを左中間に破る二塁打。茶谷の持ち味は早いカウントから積極的に打ちにいくこと加え、開幕から甘い球を仕留められる確率が高くなった。
「今年ファームで結果を残している時は一発で仕留めることができていた。いい時はそういうのができている」。
4月終了時点でファームでの打率.292(89-26)、1本塁打、17打点という成績を残した。5月は月間打率.182(33-6)と下がったものの、6月は7日の巨人戦から11日のDeNA戦にかけて5試合連続打点をマークすれば、17日のヤクルト戦では1試合に4安打を放つなど、14試合に出場して、月間打率は.412(51-21)、試合数を大きく上回る18打点。
当時打撃好調の要因について「打撃フォームの改造」を挙げ、「もともと上に構えていたものを下に構えて、楽にインパクトだけ強く振ることを意識しています」と話し、6月21日に満を持して今季初昇格を果たした。
一軍で結果を残す
茶谷は6月22日の西武戦で今季初安打を放つと、27日のソフトバンク戦でプロ入り後初となるマルチ安打を達成。7月7日の日本ハム戦以来となるスタメン出場となった7月20日の西武戦でレフト前に安打を放ち、23日の日本ハム戦では自身初となる3安打、3打点の活躍で試合後には初めてヒーローインタビューにも登場した。
一軍の試合で結果を残しはじめていた中で、7月27日に新型コロナウイルス陽性判定を受け離脱。ここで終わらなかったのが今年の茶谷だ。復帰初戦となった8月7日のDeNAとの二軍戦で3安打を放ち、9日に再昇格。途中出場となった10日のソフトバンク戦で安打、『8番・遊撃』で出場した14日の日本ハム戦でプロ入り2度目の猛打賞を達成した。
一気にポジションを掴み取りたいところだったが、14日の日本ハム戦を最後に10試合連続で安打なし。8月後半にはベンチスタートの試合も増えた。「技術で打てていない。調子が悪いというのが一番です」。当たりがない原因についても「体の開きが早くて、正直ピッチャーに対して打ちにいけていないというのが一番だと思います」と、自身の中でしっかりと理解していた。状態を取り戻すために「自分でわかっているところをコーチの方々に聞いて、いろいろ削っていって元に戻せるように思っています」と試行錯誤。
ここでも踏ん張った。9月4日のオリックス戦で8月14日の日本ハム戦以来となる安打を放つなど2安打すると、徐々に調子を取り戻し7日の西武戦、10日の楽天戦、12日の日本ハム戦で2安打と、コンスタントに安打を重ね、9月2日のオリックス戦以降、全25試合ショートでスタメン出場しシーズンを終えた。
守備でも安定性が求められるショートというポジションで、「ずっと守備に関しては細かく前から指導していただいたので、それが今できているのかなと思います」と話したように、9月23日のソフトバンク戦では0-0の2回無死一塁という場面、中村晃が三遊間に放った打球に対して左手を伸ばしキャッチすると、そのまま二塁へジャンピングスローし二塁でアウトに奪うなど好守備が光った。
ロッテ入団後、結果を残して移籍1年目から育成選手ながらファームでレギュラーを掴み、同年オフに支配下選手となり、今年はファームできっちりと数字を残し一軍に昇格し、数少ないチャンスにバットで存在感を示して出場機会を得た。チャンスを与えられるというよりは、数字で示すことで自分の居場所を掴んできた。来季から吉井理人監督に代わり、ポジションを掴み取るには再びアピールする必要がある。近年はロッテのショートのポジションは絶対的なレギュラーがおらず、10月に行われたドラフトでもショートを守る選手を指名した。ライバルがまたも増えた。レギュラーを掴み取るのか、他の選手がスタメンで出場するのかーー。シーズン後半、一軍でプレーした経験を活かすためにも、来季は茶谷にとって大事な1年になる。
▼茶谷健太の今季一軍成績
57試 率.248 本1 点9
取材・文=岩下雄太