DeNA・佐野恵太[写真=萩原孝弘]

◆ 年俸はプロ入り時の約20倍!

 DeNAの佐野恵太選手(28)は14日、契約更改交渉を終えて報道陣の前に登場。「1億7000万円でサインしました」と報告した。

 プロ入り時から約20倍になった年俸には「自分でもビックリです」と驚きの声。「入った時は670万円。当時の自分に言っても信じないだろうなと思います。こうして成績を残すことができたら評価していただけて、年俸も上がっていくんだと、プロの世界に入ればドラフトが何位でもみんな同じだと当時言ってもらいましたが、本当にそうなんだなと」としみじみと語った。

 プロ6年目の今季はチームのキャプテンとして133試合に出場。打率.306で3年連続の打率3割クリアに加え、積み上げた安打数は161本。最多安打のタイトルも獲得した。

 「本当にすごく評価していただいて、来シーズンも頑張らないといけないなと強く思いました」と球団への感謝を述べた背番号7。

 話し合いの席でも「今シーズンも野球の環境だったり、野球以外のところのサポートもして頂いた。何不自由なくグラウンドでプレーすることができたので、本当にありがとうございましたと」と感謝を伝えたと言い、「来シーズン勝つことが球団への恩返しになると思う」と気持ちを新たにした。

◆ 「もう一度首位打者を獲りたい」

 今季の戦いについては、「夏場に連勝することができて、ホームでも連勝してそこで勢いに乗れた。やっぱり勝つことが一番、チームにとってまとまる要因のひとつなのかなと感じることができた」とし、「来シーズンも勝つことでチームがさらにまとまると思うので、勝利にはこだわらないとと強く感じました」と、快進撃の中でひとつひとつの勝利の重要性を再確認したという。

 そのうえで、「待っているだけだと当然苦しい状況になる。勢いがなかったり、流れが悪い時でも良い試合ができるように。そうすれば勢いに乗った時には、優勝にもっと近づくと思っています」とも語り、ノッている時は勢いのままに、逆にそうでない時にどう戦っていくかが優勝に向けたカギになると語った。

 また、個人の成績についても「最多安打とベストナインを受賞させてもらいましたが、最多安打に関しては多くの試合で後ろの打順に牧と宮﨑さん、そしてソトという強打者がいるのでヒットを打つことができた」とチームメイトへの感謝がまず口をつく。

 来季に向けても「もう一度首位打者を獲りたいと思っていますし、タイトル争いに加わっていけるような成績を残したいと思います」と闘志を燃やした。

◆ キャプテンに対するこだわり

 佐野が“キャプテン”という重責を担ったのは2020年のこと。今年が3年目となり、三浦大輔監督も気に掛けていたところもあったようで、「クライマックスシリーズが終わってすぐ、監督が気を遣ってくれて、“キャプテンが重荷になったり、苦しめたりしていないか”と聞いてくれた」という。

 佐野の答えは「それ以上にキャプテンで優勝したい」。つづけて「監督がやらせてくれるなら、僕はやりたいですという話をしました」とすぐに自身の希望を伝えると、「監督も“佐野がそう言ってくれるならお願いしたい”と言ってくれた。監督に恩返しをしたいと思います」。来年のキャプテン継続が決定し、改めて「キャプテンで優勝」という目標に向かって突き進むことも決まった。

 「チームメイトみんな、今年は2位で悔しい思いを一緒にしましたけど、前年最下位から2位になることができたので、勝つ喜びを感じられたシーズンだったと思います」

 2022年の奮闘を経て、「来シーズン、目指すところは必然的に優勝」。キャプテンの想いはチームメイト全員に共通するものに違いない。

 最後は来季に向けた意気込みを色紙に一筆。そこには「マリオカートで一気に下位から捲るという意味」である“神打開”の文字が。

 最下位から2位、そして頂へ。4年目を迎える頼もしいキャプテンのバットが、横浜に歓喜を呼び込む。

取材・文・写真=萩原孝弘

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