2014年は球団初の沢村賞&シーズンMVP受賞
日本ハムを自由契約となっていた金子千尋投手(39)が23日、札幌市内のホテルで会見を行い現役引退を表明した。来季から日本ハムの特命コーチに就任。米国へコーチ留学するプランも明かした。
今回の会見は日本ハムの公式YouTubeでも配信され、まず「今シーズンで現役生活を引退することに決めました」と発表。「決断したのは2、3日前です。現役を続行したいという希望があったのでトレーニングはしていた。その中で、他球団から声が掛からなかったことが引退決断の理由です」と明かした。
長野商高、トヨタ自動車を経て、2004年のドラフト自由枠でオリックスに入団。多彩な変化球を操り、4年目の2008年から先発ローテーションの柱として活躍した。同年から4年連続2ケタ勝利をマーク。2010年は岩隈久志、田中将大(ともに楽天)、ダルビッシュ有(日本ハム)、杉内俊哉(ソフトバンク)、涌井秀章(西武)らを抑え、和田毅(ソフトバンク)と並ぶ17勝で最多賞のタイトルを獲得。2013年はシーズン無敗で24勝を挙げた田中を抑え、最多奪三振(200K)のタイトルを獲得した。
2014年も16勝5敗、防御率1.98、199奪三振の好成績を残し、自身2度目の最多賞、初の最優秀防御率賞を獲得。チームはソフトバンクとのシーズン最終戦に敗れ2位に終わったものの、リーグMVPと球団初となる沢村賞にも輝いた。
故障が増えた2015年以降は成績を落としたが、オリックスでの14年間で計120勝をマーク。日本ハムでの4シーズンは計10勝に終わったものの、移籍初年度の2019年は8勝7敗、防御率3.04と活躍した。通算成績は387試合(281先発、106救援)で130勝94敗5セーブ、防御率3.08。「オリックスで14年、ファイターズで4年間、順風満帆と言える成績ではなかったかもしれませんが、入団したときの自分を考えると、よくやったんではないかと思います」と18年間の現役生活を振り返った。
「良いところを伸ばし、スケールの大きな選手を育てたい」
「今後はファイターズの特命コーチとして、アメリカへコーチ留学させていただきます」
指導者として新たなスタートを切る。2月のスプリングトレーニングに合わせ渡米する予定で、「動作解析など、最先端の技術を取り入れたトレーニングやコーチングなどをアメリカで勉強してきたい」と意気込む。
「僕が現役中にやっていたから『これをやれ』みたいな、根拠がない指導はしないようにしたい。『この選手はこうすれば伸びる』『この選手はここを直せばもっと良くなる』と個性をしっかり評価できる、まずは選手を見る眼をつけたい思っています」と理想のコーチ像についても言及した。
「良いところをどんどん伸ばし、スケールの大きな選手を一人でも多く育てたい」と金子千尋コーチ。人生の第2幕が楽しみだ。