頂点を目指して山頂からスタート
DeNAの三嶋一輝、石田健大、山﨑康晃、伊勢大夢、石川達也の投手5人からなる“チーム厚木”が、恒例行事となっている神奈川県厚木市・白山での山登りを敢行。厚木の街を望む山頂から、それぞれが今季への意気込みを語った。
プロ10年目の昨季、国指定の難病である胸椎黄色靭帯骨化症の手術を行った三嶋は「去年は個人的にもいろいろありましたし、また1からのスタート。自分の野球人生にとっても大事なシーズンになると思う。“強くなってマウンドに帰ってくる”と言った気持ちで山登りをはじめて、また頑張ろうという気持ちになっています」と復活を期すシーズンを見据える。
今年がプロ9年目になる石田は「毎年この厚木自主トレがスタートになるので、また新しい気持ちでやっていかなければいけない」と恒例行事を経て気持ちを引き締め、ルーキー時代から参加している山﨑も「この神奈川の山をスタートとして、ペナントレースも頂上を見ないといけない。神奈川の山を登るというところに意味がある」と決意を新たにした。
そんな先輩たちの背中を追う伊勢は「もう1月のこの時期か、と。ここからキャンプインまであっという間なので、万全の状態でキャンプに臨みたい」とし、今年が初参加となった24歳の石川は「先輩方とやれて、今年も一年はじまったなという気持ちです。伊勢さんよりは早く登れた」と振り返った。
もともとは三浦大輔監督の現役時代から続いている厚木での自主トレ。伝統を受け継いできた三嶋は「仲良くやらせてもらってますよ。紙面ではバチバチですけれども」と言い、「なんで一緒にやるのか、賛否両論いろいろ言われてきましたけど、みんなで集まって一緒に練習をやって、それぞれが目的を持ってやっている」と強調。
つづけて「シーズンに入ったらライバルでもあるし、仲間でもあるし難しいところですが、みんなで集まって厚木の人たちにお世話になって、施設を借りて神奈川県でやっているのはすごく大きな意味がある」。地域に根差し、投手陣の絆を深めるトレーニングの意義を説いた。
三嶋「自分にとって大きな一年」
キャンプインまでは約20日。三嶋は「キャンプ初日にはそこそこのパフォーマンスを。去年の手術、大きな難病でみなさん心配されていると思うので、その分やらなきゃいけない。この1カ月が大事になってくる」と意気込み。
山﨑も「1月でしっかりと身体を作って、キャンプは初日からブルペンに入れるつもりでやっていく」とし、石川も「2月1日からブルペンに入って、どんどんアピールしていかないといけない。そういった面では、(1月)後半から立ち投げなどをしっかりやっていきない」と語り、3人は2月1日からのスタートダッシュを期す。
一方、石田は「調整しなければいけないのはもちろんですが、上げ過ぎても開幕の時に落ちてしまうということを経験している。しっかり調整して身体を動かしていきたい」と、これまでの経験からやや慎重な構え。
伊勢も「2年目からオープン戦の成績が悪いので、ファンや首脳陣の方も不安になる。オープン戦からしっかり上げられるような土台作りを」と語り、こちらも先を見据えた。
今季の抱負もそれぞれで、三嶋は「自分にとって大きな一年になる。手術を克服して一軍のマウンドでバリバリ投げる、その一人目になりたいという強い気持ちで戦う」と復活が最大のテーマ。
石田は「先発6枚に入れるようにしっかりとアピールして、まだまだ勝ち星を増やしていかなければいけない。先発陣の先頭に立っていくのが目標」と、今季も先発として戦う決意を表明した。
昨季守護神に返り咲いた山﨑は「安定して投手陣を引っ張れるようにしていかなければいけない立場。みんなで良い景色を見られるように」と語り、同じくブルペンの柱として奮闘した伊勢は「チームを引っ張るのは一人じゃなくてもいい。若い力でチームを引っ張って盛り上げられるように」と共闘に期待。
伊勢が話した“若い力”の候補となる石川は「一軍で一年間戦っていければ。チームの日本一、リーグ優勝になにかひとつでも貢献できれば」と意気込みを述べた。
先発・中継ぎ・抑え。年代も様々ながら、ベイスターズの重要なポジションを占める“チーム厚木”。
昨季2位のチームをNPBの頂上へと誘う原動力となれるか。5人の奮起に期待したい。
取材・文=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)