侍ジャパンでは「外野手」登録
1月26日、栗山英樹監督から第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に挑む侍ジャパン日本代表メンバーが発表された。
先行して発表されていた大谷翔平(エンゼルス)やダルビッシュ有(パドレス)ら12名に加え、新たに山田哲人(ヤクルト)や吉田正尚(レッドソックス)ら18名が追加された。これで、世界一奪還に挑む30名が出揃ったことになる。
発表されたメンバーを見ると、外野手は近藤健介(ソフトバンク)と吉田正尚(レッドソックス)、ラーズ・ヌートバー(カージナルス)、鈴木誠也(カブス)、周東佑京(ソフトバンク)5人。なかでも周東は、ソフトバンクでは内野手登録の選手だ。
外野のスタメンは左翼手に吉田、中堅手・ヌートバー、右翼手・鈴木の3人が濃厚。近藤も打撃型の選手であり、守備が得意なタイプではない。大会開幕後も、故障者が出た場合にメンバーの入れ替えができるとはいえ、試合中に不測の事態が起きれば、外野3ポジションを守ることのできる周東がいずれかのポジションを守るのだろう。
もちろん周東には、試合終盤に1点を奪いにいくための代走の“切り札”としての役割もある。今大会でスタメン起用される機会は少ないかもしれないが、ベンチに欠かせない存在であることは間違いない。まさに、外野守備と走塁の切り札的存在だ。
ソフトバンクの三塁は激戦区
そんな周東だが、ソフトバンクでも決してレギュラーが確約されているわけではない。
昨季の周東は二塁に三塁、そして外野3ポジションの合計5ポジションで守備についている。なかでも三塁では、松田宣浩(現・巨人)がスタメンから外れる機会が増えるなかで、チーム最多の48試合でスタメン出場した。本来であればレギュラー候補筆頭だ。
しかしながら、今季のソフトバンクにおける“三塁争い”は熾烈を極めている。
まず、栗原陵矢が外野から三塁へとコンバートされた。昨季序盤に左膝前十字靱帯断裂の大怪我を負ったことで実戦からは長らく離れているが、もともと東京五輪の侍ジャパンメンバーにも選ばれていた実力者。膝が万全であるならば一番手だろう。
その他では、来日2年目を迎えるフレディ・ガルビスと新加入ウィリアンズ・アストゥディーヨの外国人選手コンビ。新人ながら2ケタ本塁打・2ケタ盗塁を達成した野村勇に、右の大砲候補であるリチャードと、多種多様な選手たちがそのポジションを争うこととなる。
もちろん周東には、二塁や外野3ポジションを守れる強みはある。だが二塁には、リードオフマンに定着した三森大貴がいる。
外野も柳田悠岐と牧原大成のレギュラー陣に正木智也や柳町達に上林誠知、そして指名打者と併用となるが新加入の近藤もおり、ライバルは多い。よほどのことがない限り、周東は三塁でポジションを争うことになるだろう。
代表メンバーでは、村上宗隆(ヤクルト)や岡本和真(巨人)がいることもあり、周東が三塁を守る機会はほぼないと見ていい。
開幕前の大事な時期だけに、侍ジャパンを辞退してチームに残る選択肢もあったはず。そんな状況でも、周東はそれを選択せず、代表入りを選んだ。
侍ジャパンで与えられた役割をまっとうし、ソフトバンクでのレギュラー獲りへはずみをつけることができるだろうか。
文=BASEBALLKING編集部