2年間ファームで鍛える
ロッテは14日から沖縄本島での実戦がスタートする。そのメンバーが12日に発表され、高卒3年目の西川僚祐と山本大斗も選ばれた。
2人は高卒2年目の昨季までファームでみっちりと鍛えた。西川はプロ1年目の21年が二軍で打率.157と苦戦したが、昨季は8月にリーグトップの打率.386、27安打、長打率.629、リーグ2位タイの14打点、リーグ3位タイの3本塁打を放ちファーム月間MVPに輝くなど、ファームで打率.276、8本塁打、48打点の成績を残した。
21年はタイミングがあっていない印象を受けたが、「一番はタイミング、ボールとしっかり距離をとって、タイミングをとってしっかり打ちにいけているのが大きいと思います」と昨季は自分の間合いで打てるようになった。
“タイミング”をしっかり取るために、試合前の打撃練習からしっかりと試合を意識しておもいっきり強く振ることを心がけた。21年はすり足で打っていたが、「打てないのが1年続いて、どうしても打てるようになりたいと思っていろいろ試した。もともと足をあげて打つタイプなので、それ一本で練習からそれを続けていけば、いい感覚をつかめるなと。いろんなことを試すのではなくて、まずは自分がこういうバッティングだというのを一つ固めることができれば、次に追い込まれてからノーステップだったりとかあるので、これだと見つけるためにまずは足をあげておもいっきり振るということを意識しています」と試行錯誤した結果、22年は足を上げて打った。昨年9月の取材では自分の中で、打撃の軸が「だんだん決まってきているなと感じています」と話している。
そしてオフは「とにかく全身の力を1点に集中するようにというのを意識しています」ということを意識して取り組み、11日に行われた楽天モンキーズとの国際交流試合では途中出場し、「結果として(安打が)出たというのは、素直に良かったと思います」と、3-1の9回一死走者なしで迎えた第2打席、1ボール1ストライクから真ん中にきたスライダーを振り抜きレフトへ二塁打を放った。
山本大斗は1年目の21年はファームで公式戦初打席で初本塁打を放つなど5本のアーチを描き、同年の10月に行われたフェニックス・リーグでも5本塁打を放った。2年目の昨季は7月に6日の楽天戦から3試合連続本塁打を放つなど、月間4本のアーチを描き、同年7月30日に支配下登録。ファームではチームトップの12本塁打を放ち、シーズン終盤には一軍初出場を果たした。シーズンが終了してからもフェニックス・リーグで4本塁打を放ち、長打力が魅力の選手だ。
安田、山口に続け!
安田尚憲と山口航輝も高卒2年目まではファームで技術を磨き、3年目に一軍に定着した。
安田は2年目の19年にイースタンリーグトップの本塁打王(19本)、打点王(82)に輝き、山口は2年目の20にチームトップタイの7本塁打、チームトップの30打点を挙げ、8月25日の巨人との二軍戦からシーズン最終戦となった11月1日の楽天二軍戦にかけて4番で出場するなど、34試合で4番を務めた。
安田は3年目の20年にオープン戦で思うような結果を残せなかったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で開幕が6月19日に変更となり、6月に行われた練習試合で打率.375(16打数6安打)、1本塁打、2打点とアピールし開幕一軍を掴む。開幕してからは7月21日の西武戦から10月30日の楽天戦にかけて4番に座るなど、113試合に出場。自身初の規定打席にも到達した。
山口は「勝負の年」と位置付けた3年目、2月13日からの対外試合でも、濵口遥大(DeNA)や田嶋大樹(オリックス)といった実績のある左腕から安打を放った。2月27日の西武との練習試合から4番に座り、3月11日の楽天戦では本塁打を含む2安打3打点の大暴れ。オープン戦ではチームトップの6打点をマークし開幕一軍を掴んだ。開幕してからは一、二軍を往復したものの、3年目の21年は9本塁打を放った。
安田と山口はファームで鍛えた2年間を無駄にすることなく、3年目に一軍で経験を積み、最低限の結果を残した。西川、山本とともにファームでみっちりと2年間経験を積むだけでなく、西川は月間MVP、山本はチームトップの本塁打と結果を残してきた。西川は3年目の今季に向けて「開幕一軍を目指して、さらに結果を求めてやっていけたら一番いいかなと思います」と話せば、山本は「去年2試合だけ一軍を経験させてもらって、自分の中で悔しい思いをした。3年目絶対やってやろうという気持ちで、オフシーズンもやってきた。3年目はずっと1年間一軍でいられるようにやっていきたい」と意気込む。14日から始まる練習試合、オープン戦の結果によっては開幕一軍も見えてくる。
取材・文=岩下雄太