一軍を経験して見えた課題
「去年はビハインド(での登板)が多かったので、勝ちパターンに食らいついていける1年にしたい」。
今季に向けて、このように意気込むのはロッテ・小沼健太だ。育成選手として入団した小沼はプロ1年目の21年、イースタン・リーグ最多の18セーブをマークし、プロ2年目の昨年の春季キャンプは育成選手ながらA組スタートを切り、同年2月15日以降の沖縄遠征にも帯同。開幕前の3月22日に支配下選手登録を掴んだ。
開幕一軍を逃したものの、開幕直後の3月29日にプロ初昇格を果たすと、同月30日のソフトバンク戦でプロ初登板を飾り、2回を無失点に抑えた。5月26日の広島戦では2回を無失点に抑えプロ初勝利を挙げ、ビハインドゲームを中心に6月終了時点で17試合に登板して1勝1敗1ホールド、防御率2.18と安定した投球を見せた。しかし、7月に入ると1日の楽天戦で3失点、続く3日の楽天戦でも3失点と、7月は登板した4試合全てで失点。7月11日に一軍登録抹消されると、その後、1度も一軍で登板することなくシーズンを終えた。
「課題はコントロール。強くいくだけじゃダメだと思った。低め、コースだったり、どちらでもいいと思うんですけど、僕の場合は真ん中に集まることが多いので、真っ直ぐだけでなくて変化球のコントロールを課題として今はやっています」。
一軍を経験して、きっちりとコースに投げ切るコントロールの重要性を課題に感じたそうだ。
奪三振へのこだわりは?
育成選手時代は「今までも三振が取れる方ではなかった。結果的に三振も少なく、四球も少ないんですけど、一軍に上がるためには三振数というのを、防御率以上に僕自身大切にしないといけないと思っています」と、“三振”にこだわっていく考えを示していたが、支配下選手登録直後の昨年4月の取材では「(三振が)取れないので、今は無理してこだわる必要はないかなと。今はそういう思いです」と話していた。
奪三振についての考え方は、昨年4月から変化はあったのだろうかーー
「今自分ができることと言ったらしっかりアウトを積み重ねていって、チームの勝利にこだわっていきたい。三振というよりはしっかりアウトを取れるピッチャーになることだと思います」。
アウトをとにかく奪うことだけを考えて投げている。それでも、2月11日の楽天モンキーズ戦、14日の中日との練習試合では、いずれも1回を投げ0被安打2奪三振と、2試合・2イニングだけとはいえ、4奪三振と三振を多く奪っている。その理由のひとつがフォークだ。落差がこれまでに比べて大きくなった。
11日の楽天モンキーズ戦後の取材で小沼は「(フォークの)握りをキャンプ中にちょっと変えてみてハマったので、それが今いい感じにいっている」と話し、「落差も欲しかったので色々握りは試行錯誤して今年はあの形でいこうかなと思っています」とのこと。
ロッテのリリーフ陣は30代が多く、若い世代の台頭が待たれる。対外試合は始まったばかり。勝ちパターンに食らいつく1年にするためにも、まずは練習試合、オープン戦で結果を残して開幕一軍を掴み、首脳陣の信頼を得たい。
取材・文=岩下雄太