西都で黙々とノックを練習
3月に開幕する『2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™』に向けて、強化合宿を行っている侍ジャパン。日の丸を背負う選手たちは、17日から宮崎の地で汗を流している。
そんな侍戦士たちを陰で支えるのが、城石憲之内野守備・走塁兼作戦コーチだ。ヤクルトで二軍チーフ兼守備走塁コーチを務める同コーチは、16日まで二軍の西都キャンプでヤクルトの若手選手を中心に指導してきた。
チームを離れる直前の15日には、西都のメイン球場でひとり黙々とノックの練習を行う姿も。城石コーチにそのことを尋ねると、爽やかな笑顔を見せながらこう説明してくれた。
「選手のために、ただノックを打つといってもいろいろな打球がある。そこの技術的な部分、僕らができるのはそこが大きいと思う。日本のトップの選手が来るので、対応できるようにじゃないですけど、やっていきたいなと」
合宿初日の午後には、山田哲人(ヤクルト)、牧秀悟(DeNA)、中野拓夢(阪神)が城石コーチのノックを受けた。
「(選手たちは)思ったより守備に対しての意識が高くて、初日から午後の時間を使って守備をやるというのは予想してなかった」と振り返ったが、「本人たちがやりたいということだったので、そういう部分では意識高く取り組んでくれているんじゃないかと思います」と喜んでバットを振った。
「選手のパフォーマンスを最大限に」
侍ジャパンでも守備の要である遊撃手の源田壮亮(西武)は「いろいろな打球を打ってくれますし、生きている打球というか、めちゃくちゃすごい技術だなと思います」と城石コーチのノックを絶賛する。
“1点”の重みを痛感しかねない国際大会。守りのミスが勝敗を分けるポイントになることもある。練習から「生きた球」をさばくことができるのは、侍の内野陣にとって大きなメリットだ。
栗山英樹監督を支え、過酷な戦いを勝ち抜くため選手たちを懸命にサポートしていく城石コーチは、WBC本戦に向けてこう話す。
「選手のパフォーマンスを最大限に引き出して、ゲームで表現させてあげるというのが僕らの仕事。技術的な部分というのはトップの選手ばかりなので、そのあたりは心配してないですけど、レギュラーシーズンとは違う舞台でというところは、精神的な部分で前向きにどんどんいけるようにこっちで何とかしてあげたいなと思っています」
現役時代は二塁や三塁、遊撃を守り、堅実な守備を誇った。城石コーチから放たれる1球、1球が日本の世界一奪還への道しるべとなる。
取材・文=別府勉(べっぷ・つとむ)