ニュース 2023.02.28. 07:36

「今の日本にはこういうことが必要」ダルビッシュが11日間の宮崎合宿を振り返る

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27日、練習後に客席へ投げ入れるサインボールを披露する侍ジャパンのダルビッシュ有

「世界一を獲りたいというか、なるべく長く一緒に野球をしたい」


 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場する野球日本代表「侍ジャパン」のダルビッシュ有投手(MLBパドレス)が27日、宮崎合宿最終日の練習を終え、「みんな大きい怪我なくできていると思う。楽しかったです」と11日間のキャンプを振り返った。

 今回の宮崎合宿ではメジャーリーガーで唯一の参加者となったダルビッシュ。ファンだけでなく代表選手たちも日米通算188勝を誇る右腕の一挙手一投足に視線を送った。レギュラーシーズンの開幕前ということもあり各々が調整を進める中、ダルビッシュが投球練習を行えば後輩投手たちもブルペンに集まり観察。第1クール終了後には食事会の開催を呼びかけ、これが投手陣の絆を深める大きなキッカケとなった。

 首脳陣も絶大な信頼を寄せているダルビッシュは、この11日間を経て「全体的にみんな表情が明るくなったと思いますし、ロッカーのなかでもみんな楽しそうに話している。笑顔も増えましたし、そこはすごく感じています」とチームの雰囲気が変化してきたことを認めた。

 これまで「野球を楽しむこと」を説いてきたダルビッシュは、先日「自然と『WBCだ!世界一だ!』という空気にならないようには心がけてます」とムードメークに気を使っていることを明かしていたが、「例えば、ピリピリさせているのも勝つ時には必要かもしれない。どっちが正解とかは無いけど、野球を楽しむうえでは、やっぱりこういう良い雰囲気の方がいいと思うので、それが結果につながるかは別として、僕はこういう雰囲気は好きです」とコメント。その背景には昨秋プレーオフを勝ち進んだパドレスでの経験もある。

 「去年のパドレスの投手陣はみんなすごく仲良かったので。やっぱり個々が孤立してしまうと、いくら実力があっても上手くいかないことがありますし、逆にそれで上手くいくこともあるので、何が正解か難しいんですけど、今の日本にはこういうことが必要だと思っています」

 チームに馴染めずにいた宇田川優希投手(オリックス)は、ダルビッシュが呼びかけた食事会を経てパフォーマンスも向上。その変貌ぶりにダルビッシュも「精神的な部分はパフォーマンスにすごく影響するんだなと思いましたね」と驚きのコメントを寄せていた。宇田川の成功例も今の代表チームを語る上では欠かせないトピックだ。

 世界一を獲るためには、世界一を意識しないこと。日々の積み重ねにどれだけ集中できるかを説いていたダルビッシュは「世界一を獲りたいというか、なるべく長く一緒に野球をしたいなと。1日でも長くしたいって思いはもちろんあります」とチームへの愛着も口にする。

 WBC初戦は3月9日に東京ドームで行われる中国戦。強化試合4試合を経て、いよいよ野球の世界一決定戦が幕を開ける。
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