ダルビッシュの助言も
野球日本代表「侍ジャパン」の今永昇太投手(DeNA)が10日、『カーネクスト 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™ 東京プール 1次ラウンド』の韓国戦に2番手として登板。いわゆる“第2先発”として3回を投げ、無四球・3奪三振で1失点の好投を見せた。
先発したダルビッシュ有の後を受け、1点リードの4回から登板した左腕。3回に3点を挙げている韓国打線に対して150キロを超える速球を臆することなく投げ込み、4回・5回は無失点で封じ込める。
6回は一死からパク・コンウにライトスタンドへの一発を浴びたものの、後続を斬って最少失点。今大会の規定で投球数が50球を超えると中4日を空けなければならなくなる中、48球で3イニングを投げ抜き、与えられた任務をしっかりと遂行した。
試合後のヒーローインタビューに呼ばれた背番号21は、「個人的には1失点してしまったんですが、最終的にはチームが勝ってものすごく嬉しいです」と喜びのコメント。
自身の投球については「降板したダルビッシュさんとロッカールームで話す時間があって、代わった後もていねいに韓国打線の情報を与えてくれた。僕自身もその情報通りに、自分のまっすぐを信じて投げることができました」と語り、好投の裏にはダルビッシュの助言もあったと明かす。
そのうえで、もうひとつの原動力としてファンの声援を挙げながら、「自分の知らない力を出させてもらった。ご声援をいただき、本当にありがとうございました」と最後まで球場に残ったファンに向けて感謝の気持ちを述べた。
女房役の中村悠平も「すごい球を投げていた」
ヒーローインタビュー後にも取材に応じた今永は、この日の役割に関して「中盤だったので、流れを持って来られるようなピッチングができれば良いなと思ってマウンドに上がりました」と言及。
お立ち台でも触れたダルビッシュからの助言は「まっすぐなら高めの方が良いんじゃないか」という旨のものだったと明かし、それが果敢に速球で攻めていく投球につながったという。
それでも、本人は「良いストレートは何球かありましたけど、ボール先行にするところもあった」と振り返り、「すべてが良かったとはいえないと思います」と反省点も口にしている。
しかし、リードした捕手の中村悠平に話を聞くと、「逆転した次の回を0で抑えられたというところで、試合が落ち着いたというのもある。うちにもうひとつ流れがきてくれたと思う」と重要な局面での好リリーフを称えていた。
中村は続けて「あれだけ力のある投手がショートイニングでくると、相当な力があるんだなと。今年初めて受けましたけど、すごい球を投げていた」とし、今永の状態面の良さも強調。
「この球を投げられれば、振れている韓国打線でもある程度勝負できるなと思ったので、思い切っていきました」と振り返り、左腕の調子の良さが自身の強気のリードにもつながったと振り返った。
先制を許しても打線が逆転し、リリーフ陣が流れを引き寄せて掴んだ連勝。好スタートを切った侍ジャパンが目指す先は世界一。最強の打線と投手陣が団結すれば、3大会ぶりの栄冠をつかむことができるはずだ。
取材・文=別府勉(べっぷ・つとむ)