メッツ時代にコカインの使用を証言
8日に開幕した『2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™』も日程が進み、プールAとプールBでは準々決勝ラウンドの進出チームが決定。特にプールAは全チームが「2勝2敗」で並ぶ大混戦となった中、キューバとイタリアの2チームが勝ち上がりを決めた。
イタリアは最終戦でオランダを破り、大逆転で東京行きのチケットを掴んだ。次戦は侍ジャパンとの対戦とあって、日本国内での注目度も高まっているが、実はアメリカもイタリア代表の奮闘に熱視線を送っているという。
『ニューヨーク・ポスト』電子版は12日(日本時間13日)、イタリア代表の躍進のキーマンとして一人の投手を紹介。そこで名前が挙がったのが、MLB通算50勝の実績を持つ右腕マット・ハービーである。
33歳の右腕は12日に行われたオランダ戦に先発として登板。4回2安打1失点の好投で勝利投手となった。
今大会登板した2試合通算では7回を4安打・1四球、3奪三振で防御率1.29を記録しており、3月7日のWBC開催以降、2試合に先発した投手の中で最高の数字となっている。
ハービーといえば、もともと2010年のドラフト1巡目(全体7位)でメッツに指名された有望株。2012年にメジャーデビューを果たし、15年には13勝をマークした。
その後は故障に苦しみながらもレッズ、エンゼルス、アスレチックス、ロイヤルズ、オリオールズを渡り歩き、現在はフリーエージェントとなっているが、そのキャリアの歩みは壮絶なものだった。
彼が再び世間の大きな注目を浴びたのが、2019年7月にエンゼルスのタイラー・スカッグス投手が急死した薬物事件。エンゼルス元職員が禁錮刑となった裁判の証人として出廷した際に、メッツ時代に自身がコカインを使用したことを証言したのだ。
さらに、オリオールズ傘下のマイナーに所属していた昨年も薬物使用違反に引っ掛かり、「60日間の出場停止」という処分を受けている。
期待の有望株からMLBのオールスターにまで登り詰めた男がハマった大きな落とし穴。それでも、度重なる故障とトラブルを乗り越えて、男は再び表舞台に戻ってきた。
平均球速は89マイル(143.2キロ)と選手としてのピークは過ぎてしまった感は否めないが、豊富な経験を武器にチームを牽引。12日の試合で60球を投げたため、規定により16日の準々決勝・日本戦に登板することはできないが、もしイタリアが勝ってトーナメントを突破すれば、その先にはイタリア代表としての“アメリカ凱旋”も見えてくる。
日本としてはそれを許すわけには行かないが、そんなドラマがかかっているとあって、準々決勝ラウンドはアメリカからの注目度も高い一戦に。
果たして、準決勝進出を決めるのはどちらになるのか。運命の一戦は16日(木)の19時、東京ドームでプレイボールを迎える。