「もっとしっかりしなきゃいけない」
野球日本代表「侍ジャパン」の村上宗隆(ヤクルト)が16日、『カーネクスト 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™ 準々決勝』のイタリア戦に「5番・三塁」で先発出場。今大会初の適時打を含む3打数2安打1打点の活躍を見せた。
誰もが待っていた強烈な一撃が、センターの頭上を越えていった。
4-0から2点を返された直後の5回裏、無死一・二塁のチャンスで4番手V.ニットーリの速球をフルスイング。村上は立ったまま到達した二塁ベース上で何度も手を叩き、両手を振り上げながら喜びを表現してみせた。
この日は「5番・三塁」での出場。1次ラウンドで務めた4番の座は吉田正尚に譲ったが、闘志あふれる一打で重苦しい雰囲気を吹き飛ばした。
村上は試合後、打順変更について「栗山監督もすごくいろいろ考えて、僕に声もかけてくれましたし、どういう打順が一番なのかということを考えてやってくれたと思う」と言及しつつ、「チームとして4番が固まると良いチームになると思うので、悩ませてしまったということで後悔じゃないですけど、もっとしっかりしなきゃいけないなと思いました」と語った。
村上らしい逆方向への鋭い打球は、7回にも飛び出した。
前を打つ吉田正尚が本塁打を放った直後の第4打席では、左翼手のグラブをはじく痛烈な二塁打でマルチ安打を記録。続く牧秀悟の右飛ではタッチアップを試み、三塁へ気迫のヘッドスライディング。走塁でもチームを盛り立てた。
苦しみ抜いた1次ラウンドを経て、「練習して、いろんなトレーニングをして、試行錯誤して。自分の中でこれだったらいけるという根拠がすごくあった」という23歳の大砲。
頼もしい言葉の通り、2安打という結果がついてきたことにも「自信を持って打席に立てましたし、それが間違いじゃなかった」と手応えを口にしている。
日本はこれで準決勝進出を決め、アメリカ行きの切符を手にした。
復活ののろしを上げた主砲が、海を越えてさらなる打棒を炸裂させてくれるはずだ。
取材・文=別府勉(べっぷ・つとむ)