ニュース 2023.03.29. 18:00

【BEYOND-ペナントレース-】辻発彦氏に聞く2023年のパ・リーグ展望

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前西武監督・辻発彦氏に聞く2023年のパ・リーグ

いよいよ開幕!プロ野球2023シーズン


 日本時間22日に閉幕した『2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™』。その興奮の余韻も醒めやらぬ中、3月30日からはプロ野球の新シーズンが幕を開ける。

 熱狂を引き継ぎ、ペナントレースの戦いをより楽しむべく、ベースボールキングではプロ野球開幕特集としてレジェンドOBへのスペシャルインタビューを実施。パ・リーグ編となる今回は、昨年まで埼玉西武ライオンズの監督を務めていた辻発彦氏にお話を伺った。

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取材・構成=尾崎直也
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開幕前にWBCがあった影響は…?


―― これから2023シーズンの展望をしていただきますが、何と言っても今年はシーズン前にWBCが行われていました。この点については、送り出す監督としてはどんな心境なのでしょうか?
(辻さんは就任1年目が2017年=WBC開催年だった)

やっぱり「心配」が一番です。WBCでケガをしてしまう選手も当然いますし、また無事に戻って来られたとしても、シーズン前の大舞台に照準を合わせることによって、シーズンでは調子を落としてしまうという選手もいましたからね。とにかく「心配」というのが正直な気持ちです。


―― その一方で、辻さんは2006年の第1回WBCにコーチとして参戦。世界一を経験されました。選手を迎え入れる側の経験もありますね。

そうですね。シーズン前に大会があるというのは決して“良いこと”ではないとは思います。ただ、決して悪い部分だけではなくて、やっぱり選手たちにとってはそうそう経験できることではない。日の丸を背負って戦うというのは、間違いなく大きな財産として残ります。


―― プロ野球選手の中でも、選ばれし者しか立つことのできない舞台。とてつもないプレッシャーの中で世界一を目指して戦うというのは、その代償も想像以上のものなのだろうなと思います。

活躍ができればもちろんそれに越したことはないですが、不調に苦しんでも、たとえケガをしてしまったとしても、良くないことも自分の歴史の1ページとして残るんです。すべてのことが経験で、そこに無駄なことはない。なので今回も参加した全選手にとって良い経験となって、チームに帰った後の糧となればいいですよね。


―― 大会が終わって所属チームに合流できるのが開幕1週間前になりますが、ペナントレースに与える影響という点ではどうでしょうか?

投手で言うと、直前まで投げていた人は疲労の部分、逆に登板機会が少なかった人は調整不足という部分で、開幕カードの登板はちょっと難しいかもしれない。それでも、次のカードでは登板できるかなとも思うので、そこまで大きな影響はないですかね。野手も力のある選手たちですから、そこはふつうにやれるかなと思います。


―― これから各球団のお話を伺いますが、その前に辻さんが今季のパ・リーグで注目しているチームはありますか?

やっぱりひとつは日本ハム。新球場・エスコンフィールドです。オープン戦の写真や映像も見ましたけどすごく良い球場で、どんなものか早く行ってみたいなと思います。


―― 選手や監督が変わることについてはよく注目ポイントに挙がりますが、球場が変わるというのも大きなモチベーションになりますかね?

それはもう選手たちも新たな気持ちで戦えるのは間違いないです。特に若い選手が多いチームですから、どんな変化が起こるのか楽しみ。監督も昨年までとは違った“本気”を強調していますから、そういった点も含めて気になっています。





パ・リーグ各球団が「挑み続ける」…優勝へのカギは?


 オリックス・バファローズ


―― まずはリーグ連覇中のオリックスですね。3連覇のキーポイントはどこでしょうか?

「新外国人選手」じゃないでしょうか。特に打者の方で、やっぱり吉田正尚選手(MLBレッドソックスへ移籍)が抜けたというのは相当大きい。彼がいての前後のつながりがあったと思います。


―― 穴を埋める存在としては、森友哉選手が西武から移籍をしましたね。

たしかに森友哉選手が加わったのはありますが、一人で埋めきるというのはなかなか難しい。彼の場合はまず捕手として、新たに投手たちとの関係性を築いてリードして行かなければならない。


―― 野手の新外国人選手では、マーウィン・ゴンザレス選手とフランク・シュウィンデル選手の2名ですね。オープン戦の段階では少し数字的にも苦しむ部分が見られています。

新外国人選手は始まってみないと分かりませんからね。去年いた選手で言えば、中川圭太選手が打線の中で良い味を出していた。宗佑磨選手や杉本裕太郎選手といったところが苦しんでいた中で、よく頑張っていたと思います。この3人が新たな軸となってシーズンを通して働いたうえで、さらなるプラスを外国人選手がもたらせるかどうか。もちろん、森友哉選手もですが。どれだけ投手陣を援護できるか、がカギですね。



 福岡ソフトバンクホークス


―― 続いて、昨年は惜しくも優勝を逃したソフトバンクです。

キーポイントですか……。戦力としては抜けていると思うんですよね。「監督」じゃないですか(笑)


―― いかにして巨大戦力を導いて行けるか、という…?

まず優勝候補として見られるチームですから。監督のプレッシャーはものすごいと思います。今年は近藤健介選手が入って、投手陣もロベルト・オスナ投手が加わった。これは大きいですよ。


―― 主力の動きで言うと、エースの千賀滉大投手がメジャーに羽ばたいていますね。

たしかに千賀投手は抜けたのですが、藤井皓哉投手が前に入ってくるんですよね。去年は途中で離脱した大関友久投手も帰ってきたし、どんどん候補の名前が挙がってくる。そこに8回はモイネロ投手、9回はオスナ投手としっかりとした方程式があって、リリーフにもかんたんに150キロを投げる力のある投手たちがいる。やっぱり安定感は断トツですよ。


―― 優勝候補No.1、ということですね。

注意しなければならないのは、毎年ケガ人が出ているというところ。注意しようがない部分もありますが、去年もそれで優勝を逃してしまったというのが事実としてあるのでね。それがなければ、やはり優勝に一番近いところにいると思います。



 埼玉西武ライオンズ


―― そして昨年3位、辻さんの古巣でもある西武ですね。

オープン戦を見ていても、どういう布陣で行くのかがなかなか想像できない部分はありますよね。山川穂高選手と源田壮亮選手が入っていないという部分も大きいですし、外崎修汰選手も離脱があったりと。源田は骨折という話もありますから、ちょっとどうなるのかなという心配はあります。


―― 未だに“山賊打線”の印象も強いですが、去年は投手陣がチームを引っ張っていたと思います。今年は平良海馬投手の先発転向という大きな変化もありますが、辻さんはどう見ていますか?

本当に先発陣がしっかりしてきましたよね。髙橋光成投手も良いですし、平良投手も良さそうなので。あとは何と言っても今井達也投手じゃないですか。ふつうにやれば15くらい勝っておかしくない投手。今年こそ期待したいです。


―― 上位の2チームもそうでしたが、西武も候補というところではたくさんの投手の名前が挙がってきますよね。

去年のように投手陣が安定してくれれば、十分に上位を狙った戦いができると思います。ただ、まだ信用はできない。どんどん良くなってきているところなので、あとは今年もしっかりと戦えたら、“もう大丈夫だね”という判断になると思います。今年が大事ですね。



 東北楽天ゴールデンイーグルス


―― つづいて、昨季4位の楽天です。

去年も序盤はかなり突っ走りましたよね。それがパタッと止まってしまって。外から見ていてもちょっと分からないんですよ。


―― スタートダッシュを切る力はあったのに、というところですね?

一番勝っていた時期は、西川遥輝選手がとにかく打ってチームを牽引していたというのはありました。良い打者だと思うし、もっとできる選手だと思います。


―― あまりオフの補強で大きな動きは見られませんでしたが、このオープン戦では2年目のクリス・ギッテンス選手が好調です。

まぁ先ほども出たんですが、やっぱり外国人選手は本当に始まってみないと分からない部分が大きい。良い勢いのまま入っていけたら良いんですが。チームの編成的にも左打者が多かったり、また内野もポジションが被っている部分も結構あるので、浅村栄斗選手と2人で、右の中軸として働くことができたら良いかなというのはあります。


―― 投打ともに中心選手がベテランの域に入っているだけに、若い選手の突き上げも待たれるところですね。

辰己涼介選手は外せない存在になっていますよね。1番に入って強引に行くところもなくなってきて、どんどん良い選手になっている。脚力と守備、肩はもう天下一品ですから、次の柱の選手として期待される部分は大きいと思います。あとはファームがすごく強いので、一軍の壁を打ち破る選手が出てくるかどうか、注目です。



 千葉ロッテマリーンズ


―― つづいては、昨季5位のロッテですね。何と言っても吉井理人新監督が就任しました。

監督が変わったというのは大きなポイントですよね。投手起用はじめ、戦い方はかなり変わってくると思います。


―― 佐々木朗希投手とともに、投手コーチとしてWBCにも参戦しました。

すごい状況ですよね。佐々木を筆頭にここも投手力は強みで、個人的には種市篤暉投手が復活してきたのが楽しみ。すごく良い投手が出てきたなと思って見ていたら、故障でトミー・ジョン手術ということになってしまった。


―― この春はサポートメンバーとして、侍ジャパンのユニフォームを着て登板もありました。

復活の兆しを見せてくれました。吉井監督も当然期待していると思いますよ。


―― その一方で、昨季は得点力不足というところで苦しみました。

野手の方も若手を使ってきましたから、中でも安田尚憲選手は今年が勝負のシーズンになってきます。あとは山口航輝選手もずっとアピールを続けている。投手力は良いものがあるので、日本人の左右の大砲が揃って活躍するようになれば一気の上位も見えてくるのかなと思います。



 北海道日本ハムファイターズ


―― 最後は日本ハムです。先ほど注目チームということで挙げていただいていました。

新庄剛志監督が「去年はトライアウト」だと。「今年は優勝“だけ”を目指す」と言っています。まずはどんな戦い方をしてくるのかを見たいです。


―― 選手の出入りで言うと、近藤健介選手がソフトバンクに移籍をしました。

もちろん大きいですが、全体的に若いチーム。その中で去年は松本剛選手という新たな柱を担える選手が出てきた。あとは野村佑希選手もそろそろ独り立ちかなと。この辺がどっしりと据わってくれると、不安は解消されるのかなと思います。


―― 活きの良い選手が多い分、爆発力という点では楽しみも大きいですね。

ハマれば、というところです。松本選手も昨年は頑張りましたが、元々はケガの多い選手でなかなか定着ができなかった。野村選手も本当にすごく良い打者だなと思うんですが、良いなと思っているとケガをしてしまう。あと五十幡亮汰選手もですね。この辺がシーズンを通して躍動できれば、かなり楽しみなチームだと思います。





見立ては「2強」も……


―― 各球団のお話を伺いましたが、辻さんが今年の優勝予想をするとしたら、どのチームを押しますか?

ソフトバンクです。やはりソフトバンクとオリックス、昨季優勝を争ったチームは安定しているかなと見ています。


―― 逆に言うと、その他の4チームはどこが抜け出すか難しいという考えでしょうか?

3位となると本当に予想がつかないと思います。この時期はこういうことを聞かれるというのも分かっているのですが、難しいです。忖度しないで予想しないとな、とは思っています。


―― 監督の立場からは、こういった解説者の順位予想などは気になるものですか?

監督としたら、下の方が気楽ではあるんです。勝ったら「ほら見てみぃ」って(笑)なので目には入りますけど、気にはしません。


―― ありがとうございました!最後に、開幕を楽しみにしているファンの皆様へメッセージをお願いします。

今年はWBCが盛り上がったので、その燃え尽き症候群は心配ではあります…。そこに出ていた選手たちが各チームに戻って新たな戦いがはじまるので、是非その流れで見ていただけたらなと思います。

あと、これまでと違うのが、球場に応援が戻ってくるということ。声が出せるということで、球場の盛り上がりがそのまま選手たちのパワーとなるのは間違いないです。なので、力を送ってもらいたい。

ペナントレースも新監督が2人入ったことで、去年とはまた違ったおもしろい戦いになると思います。きっと混戦になりますから、パ・リーグは本当に毎年おもしろい。WBCの後ではありますが、プロ野球も引き続き楽しんでいただけたらなと思います!

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