ヤクルトの赤羽由紘[写真=別府勉]

◆ 「芯に当たる確率が多くなった」と手応え

 ヤクルトの赤羽由紘内野手が自身初の開幕一軍メンバー入りを果たした。

 昨年はフレッシュオールスターゲームでサヨナラ本塁打を放ちMVPを獲得するなど、育成選手でありながら存在感を発揮してきた。

 7月29日に支配下契約を勝ち取ると、8月6日に一軍デビュー。9月28日にはプロ初安打を記録。ポストシーズンでもベンチ入りを果たした。

 内外野を守れるユーティリティー性が魅力の22歳は、オープン戦でも外野3つのポジションに加え、内野は一塁、三塁の守りに就いた。打率は.326をマークして打撃でもアピールに成功した。

 1月には昨年までのチームメイトで、現在は九州アジアリーグ・大分B-リングスに所属している内川聖一の自主トレに参加し、技術的な部分をメインに教えを受けた。

 2月の春季キャンプも一軍メンバーに入り、日々練習を重ね、オープン戦を通じて自主トレの成果は如実に表れた。「芯に当たる確率が多くなった」と手応えを得ることができた。

 内川からは「どうやったら試合に出られるか、というところを言われた。ホームランや長打を打つよりまずは打率を上げる。コンタクト率を上げていこう」と、2008年に右打者で史上最高打率となる「.378」という記録を作った男の言葉は、赤羽の心に深く響いた。

 「(プロ)3年目になるんですけど、育成で入ってきて開幕一軍という目標よりかは、まず支配下になるというのが一番最初(の目標)だった。支配下になってからは、開幕一軍や、一軍にずっといたいという気持ちがあった。素直に嬉しい気持ちです」

 晴れて開幕一軍が決定し、素直に喜びを表現した赤羽。せっかく掴み取った一軍の舞台から、もう離れるわけにはいかない。

 「チャンスをもらったときは本当に結果を出したい。誰しもがあるかもしれないですけど、何とか一軍に食らいついていけるようにやっていきたいと思います」

 多くの若手が成長していく中でチーム内での競争は激しい。新しい力がチームを活性化させていく。

 髙津臣吾監督も「新しい力というのは今年だけでなく、毎年期待する部分です」と話している。リーグ3連覇へ向けて、今年は背番号「71」が大いに飛躍するときだ。

取材・文=別府勉(べっぷ・つとむ)

【別府勉・プロフィール】
1981年生まれ。Web業界で取材や執筆、編集などのコンテンツ制作に携わってきた。2018年に「ベースボールキング」で当時ルーキーだった村上宗隆選手にインタビューを行い、現在まで東京ヤクルトスワローズを取材。2020年からコラムを担当。『夢追うツバメたち』連載中。NPB以外では、女子野球の現場にも足を運ぶ。

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別府勉

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