WBCで躍動したセ・リーグ3選手に注目
侍ジャパンの3大会ぶり3度目となる優勝に沸いたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。その余韻に浸る間もなく、NPB(セ・リーグ)のレギュラーシーズンは3月31日に開幕する。注目はやはりWBCで活躍を見せた選手たちだが、彼らのシーズンでの注目ポイントについて紹介してみたいと思う。今回はセ・リーグの野手3人についてピックアップした。
■ 中村悠平
生年月日:1990年6月17日(32歳)
ポジション:捕手
身長・体重:176cm・83kg
投打:右投右打
出身地:福井県
所属チーム:東京ヤクルトスワローズ
現役最高の捕手は中村悠平、そう感じたファンも多かったWBCだったのではないだろうか。1次ラウンドでは甲斐拓也(ソフトバンク)と交互に先発マスクをかぶっていたものの、大会が進むごとに信頼を勝ち取り、準決勝、決勝ではいずれも先発を任されてチームの優勝に大きく貢献した。特に圧巻だったのが決勝でのリードだ。7人の投手の持ち味を存分に引き出し、アメリカの強力打線をソロホームラン2点に抑え込んで見せたのだ。安定したキャッチング、スローイングももちろんだが、相手打者が弱いと見るとそのボールを徹底的に続ける大胆な配球はチームの大先輩である古田敦也を彷彿とさせる。シーズンでも2年連続でベストナイン、ゴールデングラブ賞を受賞しているが、まさに今が捕手として旬を迎えていると言えそうだ。シーズンでも期待されるのはもちろん正捕手として1年を通じてマスクをかぶり続けることだ。昨年は守備率1.000、盗塁阻止率もリーグトップの.364をマークする文句なしの活躍だっただけに、今年もその安定した守備としぶといバッティングでチームを牽引してくれることを期待したい。
■ 岡本和真
生年月日:1996年6月30日(26歳)
ポジション:内野手
身長・体重:186cm・100kg
投打:右投右打
出身地:奈良県
所属チーム:読売ジャイアンツ
NPB所属の野手では史上最年少の三冠王に輝いた村上宗隆(ヤクルト)にスポットライトが当たることが多かったWBCだが、そんな村上以上に長打力を存分に発揮したのが巨人の主砲、岡本だ。1次ラウンドではシングルヒット2本に終わったものの、準々決勝のイタリア戦では貴重な追加点となるスリーランを放つなど5打点の大活躍。決勝のアメリカ戦でも点差を2点に広げるソロホームランを放ち、チームの勝利に大きく貢献した。昨年は後半戦から調子を落として中田翔に4番を譲る試合もあったが、それでも球団では王貞治、松井秀喜以来となる5年連続の30本塁打を達成。しかし打率、本塁打、打点全てがレギュラー定着後最低の数字となっており、村上とは大きく差を空けられた印象は否めない。巨人の4番というプレッシャーの中で結果を残し続けることはもちろん簡単なことではないが、WBCでの打撃を見てもまだまだ成績を伸ばせる余地があると感じたファンも多いはずだ。ここ数年は調子の波の大きさが課題となっているだけに、少しでもその波を小さくして、村上とハイレベルなタイトル争いを繰り広げてくれることを期待したい。
■ 牧秀悟
生年月日:1998年4月21日(24歳)
ポジション:内野手
身長・体重:178cm・95kg
投打:右投右打
出身地:長野県
所属チーム:横浜DeNAベイスターズ
現在のセ・リーグは2020年から2年連続で本塁打、打点の二冠に輝いた岡本和真(巨人)、そして昨年令和では初となる三冠王に輝いた村上宗隆(ヤクルト)が強打者の双璧と言える存在となっているが、今後この2人を追う存在として期待したいのが牧だ。WBCでは3試合の先発出場にとどまり、打率.200だったものの、3安打中2安打がホームランとしっかり爪痕は残した印象を受ける。近年侍ジャパンでセカンドを任されてきた菊池涼介(広島)、山田哲人(ヤクルト)の2人がベテランとなっており、今後のことを考えても牧の活躍は非常に大きかったことは間違いないだろう。昨年は7月に足を痛めた影響もあって2年連続での打率3割は惜しくも逃したものの、ホームランと打点は1年目を上回る成績を残して見せた。岡本、村上に比べるとパワーは劣るものの、リストワークの巧みさは上回っているように見え、右方向にも長打、ホームランを放つことができるのは大きな魅力である。3年目の今シーズンは打率3割、30本塁打、100打点を目指してもらいたい。
文=西尾典文(にしお・のりふみ)