WBC後初となるマウンドで無四球ピッチング
DeNA・今永昇太投手が5日、イースタン・リーグの巨人戦(横須賀)でWBC後初登板初先発し、5回67球を投げて3安打2失点(自責0)。「60~80球の予定だったので、予定通りかなと思います。まだ自分の理想の、一番いい時のというか、メカニズムで投げられているわけではないですけども、それでもある程度投げられたので、まずはしっかり球数を投げられてちょっと安心しました」。無四球で4つの三振を奪うなど、順調な仕上がりを見せた。
初回、先頭の浅野翔吾をこの日の最速149キロ直球で空振り三振。続く中島宏之を中飛、3番・菊田拡和を一邪飛に仕留めた。2回は一死から石川慎吾の投ゴロを落ち着いて処理し、冷静なマウンドさばきを披露するなど、簡単に3人をわずか11球で料理し、上々のスタートを切った。
0-0の3回は先頭の萩尾匡也に左前へはじき返され、この日初安打を許すと、一死二塁から増田陸の三塁へのゴロを三塁手が一塁へ悪送球。その間に二塁走者が生還し、先取点を献上した。続く浅野は2打席連続空振り三振に打ち取るも、二死二塁から中島に対し、カウント2ボール1ストライクから130キロのチェンジアップで詰まらせたが、不運にも右翼手の前にポトリと落ちるアンラッキーな適時打となり、2点目を失った。
それでも、4回以降は得点を与えず。味方が逆転に成功した直後の5回はわずか5球で3者凡退に封じ、予定していた球数を投げ終えた。日本時間22日の決勝・アメリカ戦以来となるマウンドでは、WBC球からNPB球へ戻り「まだバチっとしっくりきている感じというのは、まだない」と自己分析。「これに関しては投げ続けるしかないですし、かと言って前まで投げていたボールだから簡単にアジャストできるというわけではない、そこだけは理解できている」と冷静に現状を捉え、前を見据えた。
WBCでは1次ラウンド・韓国戦に第2先発で登板し、自己最速を1キロ更新する154キロをマークするなど、3回1失点3奪三振。準々決勝・イタリア戦ではリリーフで1回無失点。難役を全うし、好調を維持し続けた今永は決勝・米国戦での先発を託され、2回1失点。大役を果たした左腕はWBC初白星を掴み、14年ぶり3度目の優勝に大きく貢献した。
世界一の次は、1998年以来25年ぶりのリーグ優勝に照準を定め、「しっかりと一軍に上がった時に自分のパフォーマンスを出してチームを勝利に導くことが今僕のやるべきことなので、一軍に上がった時にまずはパフォーマンスでしっかりと引っ張っていけるように頑張ります」と背番号21。焦ることなく、更なる向上を図っていく。
取材・文=灰原万由(はいばら・まゆ)