○ DeNA　4 ― 0　巨人 ●
＜3回戦・横浜＞

　プロ10年目のDeNA・関根大気が影に日なたに大活躍。苦しんでいたチームに活力を与え、カード勝ち越しへと導いた。

　東克樹と横川凱の両先発が譲らず両軍スコアレスで迎えた5回裏、関根の“野球脳”が光った。先頭打者として打席に立った関根は、セーフティバントの構えで揺さぶりをかけながら、ボールを見極め四球で出塁。ソトの遊ゴロと山本祐大の左前安打で三塁まで進むと、9番・東が三塁線にバント。打球を処理した三塁手・岡本和真が一塁へ送球した瞬間に三走・関根はスタートを切り、先制のホームを陥れた。

　この日は「6番・右翼」で先発出場し、7回の第3打席でも送りバントを決め任務を遂行したが、2回の第1打席に中安打で二塁を欲張りタッチアウトとなる場面も。試合後のヒーローインタビューでは「自分は常に前の塁というか、そういうところを狙っているところでミスをしてしまった」と自戒。

　それでも、5回に決勝点をもぎ取ったシーンは、果敢に次の塁を狙う姿勢があったからこそ生まれた神走塁。「あの場面でもなんとか自分が還れたらという。その小さい可能性でしたけど、トライできてよかったなと思います」と少しだけ笑顔を見せた。

　打撃も好調で、昨日も左腕の逃げていくボールをセンターに運び、ヒットエンドランを決めるなど貢献。「自分の任された役割、嫌らしくであったり、チームのために貢献できるプレーをしていきたいなと思います」と話し、守りでも「しっかり期待に応えられるように、チームを助けられるように、ピッチャーを助けられるように、これからも頑張っていきます」と長年変わらぬフォア・ザ・チームを強調した。

　三浦大輔監督は前日の試合でも好守を連発していた関根を評価していたが、この日も「本当に良い判断でスタート切ってくれました」と絶賛。

　2回にアウトになった場面についても、「去年もそうでしたけど、今年はより先の塁というところで常に狙ってくれてますし、あれはもう間一髪でもう少し逸れていればと言ったところ。積極的なところは忘れないで、みんな全員が見ていますしね。アウトになったから行かないではなく、常に狙っているというところを今年は特に意識してやっていますから」とトライしたことを評価した。

　また、「途中からいっても、スタメンでも、ライトからレフトとか両方守れますし、塁上でも常に狙ってくれていますから。大きな存在ですね」と、幅広くチームを支える背番号63の姿に目尻を下げた指揮官。打線が本調子でない今こそ、関根のような野球IQの高いプレーヤーがチームを救っていく。


取材・文・写真＝萩原孝弘（はぎわら・たかひろ）