【東京六大学野球・春季リーグ戦】
● 慶大 1 - 4 法大 ○
<10日・神宮>
法大・篠木健太郎投手(3年・木更津総合)が投打で躍動した。前日9日には先発し、8回114球を投げて無失点と圧巻の投球を披露。この日は5回からリリーフ登板し、5回無失点の快投。打っては8回に左越え適時二塁打で3点目を叩き出し、勝利に大きく貢献した。
流れを掴みかけていた慶大打線の息の根を、篠木がその右腕で止めた。5回からマウンドへ上がると、わずか3球で2人の打者を封じ、最後は4番・廣瀬を空振り三振に斬った。2連投のマウンドでもテンポの良い投球を見せ、150キロ台を連発。6回も中軸を3者凡退に打ち取るなど、相手打線を全く寄せ付けなかった。
唯一のピンチだった7回。安打と四球で得点圏に走者を背負い、犠打で一死二・三塁としたが、「1点もあげられない状況。優勝に向かっていく中で、誰かがその道をしっかり作っていかないといけないと思う。そういった存在に自分がなれるなと、その時思った」。ピンチをチャンスと捉えた右腕は平常心を保ちながらもギアを上げ、2番・横地を中飛、最後は本間を右飛に打ち取って、雄叫びをあげた。
バットでも魅せた。1-1の8回、一死から3連打で勝ち越しに成功。なおも一死一・二塁の好機で迎えた2打席目、慶大の3番手・外丸の143キロを捉えた打球は左翼手の頭上を大きく越えた。「追い込まれたんですけど、しっかり強く振れたかなと思います」。到達した二塁ベース上で何度も手を叩き、両手を振り上げながら喜びを爆発させた。
それ以上に嬉しかったのは、主将が快音を響かせた瞬間だった。2点リードの9回、ここまで開幕から9打数1安打と本来の打棒を発揮できずにいた3番・今泉颯太主将(4年・中京大中京)に待望の一発が飛び出した。右中間スタンドに着弾した瞬間、篠木はベンチを飛び出して大きくガッツポーズ。苦しみながらも、努力を重ねる主将の姿を近くで見てきただけに、「正直、感動して涙出そうになったんですけど。やっぱり頼れるなというか、非常に自分としても嬉しい1点でしたし、チームとしても嬉しい1点だった」と喜びもひとしおだった。
5回64球を投げて、許した安打はわずか1本のみ。6つの三振を奪う快投で、リーグ通算5勝目を挙げた。加藤重雄監督は「先発ピッチャーが課題だったのでそこを強化しようと思って、この冬から春にかけてずっとピッチャーにそういう指導をしていた。それが実った試合。(篠木は)元々頼もしいんですけど、今日はさらに頼もしく思いました」と最大級の賛辞を贈ると、今泉主将も「3年生ながら、本当にチームを引っ張ってくれている」と頭を下げた。
開幕節で躍動し、チームに勝ち点をもたらした右腕は「みんなに喜んでもらえるように頑張ろうと。冬場やってきて、今シーズン始まるまでにやってきたことを信じるしかない。やってきたことを信じた結果がこういうふうに出て良かった」と白い歯を見せた。この日の神宮球場を最も沸かせた背番号18の快投は、チームをさらに勢いづけるだろう。
取材・文=灰原万由(はいばら・まゆ)
● 慶大 1 - 4 法大 ○
<10日・神宮>
法大・篠木健太郎投手(3年・木更津総合)が投打で躍動した。前日9日には先発し、8回114球を投げて無失点と圧巻の投球を披露。この日は5回からリリーフ登板し、5回無失点の快投。打っては8回に左越え適時二塁打で3点目を叩き出し、勝利に大きく貢献した。
流れを掴みかけていた慶大打線の息の根を、篠木がその右腕で止めた。5回からマウンドへ上がると、わずか3球で2人の打者を封じ、最後は4番・廣瀬を空振り三振に斬った。2連投のマウンドでもテンポの良い投球を見せ、150キロ台を連発。6回も中軸を3者凡退に打ち取るなど、相手打線を全く寄せ付けなかった。
唯一のピンチだった7回。安打と四球で得点圏に走者を背負い、犠打で一死二・三塁としたが、「1点もあげられない状況。優勝に向かっていく中で、誰かがその道をしっかり作っていかないといけないと思う。そういった存在に自分がなれるなと、その時思った」。ピンチをチャンスと捉えた右腕は平常心を保ちながらもギアを上げ、2番・横地を中飛、最後は本間を右飛に打ち取って、雄叫びをあげた。
バットでも魅せた。1-1の8回、一死から3連打で勝ち越しに成功。なおも一死一・二塁の好機で迎えた2打席目、慶大の3番手・外丸の143キロを捉えた打球は左翼手の頭上を大きく越えた。「追い込まれたんですけど、しっかり強く振れたかなと思います」。到達した二塁ベース上で何度も手を叩き、両手を振り上げながら喜びを爆発させた。
それ以上に嬉しかったのは、主将が快音を響かせた瞬間だった。2点リードの9回、ここまで開幕から9打数1安打と本来の打棒を発揮できずにいた3番・今泉颯太主将(4年・中京大中京)に待望の一発が飛び出した。右中間スタンドに着弾した瞬間、篠木はベンチを飛び出して大きくガッツポーズ。苦しみながらも、努力を重ねる主将の姿を近くで見てきただけに、「正直、感動して涙出そうになったんですけど。やっぱり頼れるなというか、非常に自分としても嬉しい1点でしたし、チームとしても嬉しい1点だった」と喜びもひとしおだった。
5回64球を投げて、許した安打はわずか1本のみ。6つの三振を奪う快投で、リーグ通算5勝目を挙げた。加藤重雄監督は「先発ピッチャーが課題だったのでそこを強化しようと思って、この冬から春にかけてずっとピッチャーにそういう指導をしていた。それが実った試合。(篠木は)元々頼もしいんですけど、今日はさらに頼もしく思いました」と最大級の賛辞を贈ると、今泉主将も「3年生ながら、本当にチームを引っ張ってくれている」と頭を下げた。
開幕節で躍動し、チームに勝ち点をもたらした右腕は「みんなに喜んでもらえるように頑張ろうと。冬場やってきて、今シーズン始まるまでにやってきたことを信じるしかない。やってきたことを信じた結果がこういうふうに出て良かった」と白い歯を見せた。この日の神宮球場を最も沸かせた背番号18の快投は、チームをさらに勢いづけるだろう。
取材・文=灰原万由(はいばら・まゆ)