神宮に刻まれた“エスコバーの7球”
DeNAは12日、敵地でヤクルトに6-1で快勝した。
投げては先発・東克樹の好投とエドウィン・エスコバーの好アシストもあって相手打線を封じ、打っては4番・牧秀悟に飛び出した待望の今季1号が逆転弾。開幕10試合を終えて5勝5敗、勝率を5割に戻して順位も3位に浮上している。
先発・東は初回に先制点を奪われるものの、3回に牧が逆転2ランを放つと勢いに乗った。
6回には女房役の山本祐大が自身初となる三塁打を放ってこの間に加点。7回には絶好調・宮﨑敏郎に4号ソロが飛び出し、4-1と着実にリードを拡大していく。
ところがその裏、球数100が迫る東が先頭のホセ・オスナにセンター前に運ばれると、中村悠平の打球は投ゴロ併殺と思いきや二塁ベースカバーに入った牧が送球を焦ったのか捕球ミス。一時は二塁アウトの判定も、これがヤクルトからのリクエストで判定が覆り、無死一・二塁となったところで東はマウンドを降りた。
しかし、後を受けた三嶋一輝は1球もストライクが入らず四球。無死満塁となると、今度はエドウィン・エスコバーにスイッチ。絶体絶命の場面での出番となったが、長岡秀樹をツーシームで詰まらせて投ゴロ併殺に仕留めると、残った二死二・三塁のピンチも代打・川端慎吾を見逃し三振に斬って見事に火消し。無失点で切り抜けた。
12日放送のCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』に出演した館山昌平氏は、まずひとつ目の勝負のポイントとして「7回裏、無死満塁のところですよね」と振り返る。
大ピンチを7球で切り抜けたエスコバーには、「素晴らしい投球。もう絶体絶命でしたから」と称賛のコメント。
「三嶋投手が四球を出してしまったところから、長岡選手も良いボールを待って打たなければいけないところですが、待っていてもなかなか打てる投手じゃないですからね。150キロ後半のボールを投げてきますから」と1球で勝負が決した点には理解を示しつつ、「川端選手に対しても、156キロで見逃し三振。打てるボールはひとつもなかったですね」と称えると、MCを務めた真中満氏からも「今日のMVPはエスコバー投手ですね」といった声が挙がった。
また、もう一つのポイントには「3回、牧選手の1号2ラン」をプッシュする。
1点を追う3回表の攻撃は、先頭の佐野恵太が死球で出るも、続く林琢真がフルカウントからの速球に手が出ず見逃し三振。ランエンドヒットを仕掛けていたため、佐野が二塁でアウトとなって三振ゲッツーに。一気に二死走者なしとなってから、宮﨑が内野安打で出て牧の2ランへと繋がっていた。
館山氏はそんな流れも振り返りながら、「三振ゲッツーから、3人で終わってしまうと相手に流れが行ってしまうというところを宮﨑選手が粘ってなんとか繋いだ」という粘り強い攻めを評価。
そのうえで、この日のヤクルト先発・高橋奎二が「スライダーが入らず、右打者に対しての曲がるボールで苦しんでいた」と苦戦していたことにも触れ、「なかなか修正できずにまっすぐとチェンジアップに頼っていたところで、狙い澄まして逃さずに打った牧選手がすごかったですね」とし、様々な要素が重なって飛び出した一発だったと解説した。
王者・ヤクルトとの最初のカードは1勝1敗のタイで終え、これで勝率も5割に戻したDeNA。良い流れのまま、2位・阪神とのホーム3連戦に臨んでいくことができそうだ。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2023』