「1点を惜しんで傷口が深くなるということも……」
西武は19日のソフトバンク戦に3-2で競り勝ち、両リーグ一番乗りでのシーズン10勝到達。連勝を4に伸ばした。
この試合では2年目左腕の隅田知一郎が6回1失点の力投を見せ、2点差の最終回は増田達至が一発を被弾もリードは死守。年を跨いで12連敗中と苦悩が続いていた23歳に389日ぶりとなる勝ちが付いた。
若き左腕の力投もさることながら、この日はベンチのビッグプレーもあった。19日放送のCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』でMCを務めた真中満氏は「6回の守り」を試合のポイントに挙げる。
3-1と2点リードの6回表、マウンドには球数90が近づく隅田。先頭の牧原大成に二塁打を許し、続く今宮健太の右飛の間に牧原は三塁へ。一死三塁のピンチを迎えた。
ここで西武の松井稼頭央監督は前進守備を選択。つづく中村晃の二ゴロを外崎修汰がさばいて本塁に送り、タッチアウトでホームインを阻止。追撃の1点を死守した。
真中氏はこの場面について、「2点リードの6回表。ここは前進守備をしない監督も多いと思います。今回はその采配がズバリ当たったんですが、もし仮に間を抜けて安打になってしまうと、二死を取っておけば良かったと思われるところでもあるんですよね」と振り返り、解説陣と議論を展開していく。
番組に出演した平松政次氏は「投手とすれば、1点やってもあと1点あるからと思うところですが……」と前置きしつつ、この日は白星から遠ざかっている隅田が登板していたこともあり、「長く勝てていない投手だったので、1点もあげたくないという気持ちがあったと思う」と推察。
今回のケースは見事に狙いがハマり、しかも9回表に1点を失ったこともあって、「もしここで1点入っていたら、9回の増田珠選手の本塁打で同点になっていましたから。この采配が当たりましたね」と守りにおける“攻めの采配”を称えた。
同じく番組に出演した谷沢健一氏も、「1点を惜しんで傷口が深くなるということがありますからね」と前進守備の難しさに触れつつ、「これは松井野球というより、西武野球ですよね。ここぞの場面では1点もやらないぞ、という野球が監督に染み込んでいた」と解説。
指揮官の勇気ある決断が、2年目左腕をトンネル脱出へと導いた。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2023』