2023.04.26 17:45 | ||||
横浜DeNAベイスターズ | 5 | 終了 | 2 | 東京ヤクルトスワローズ |
横浜 |
お立ち台では“キャッチャーらしい気遣い”も
これが内助の功だ!戸柱恭孝が試合を決める勝ち越し3ランをライトスタンドに突き刺し、DeNAがヤクルトに5-2で快勝。苦しみながらも6回を最小失点で投げぬいた相棒・石田健大の粘投に応え、2番手・三嶋一輝に難病からの復活の勝ち星を届けてみせた。
石田は斎藤隆投手コーチの「ボールは走っているが自分の思ったところにコントロールできていないように見える。珍しくパワーピッチングのようにも感じる」という言葉通り、持ち味の“押し引き“が出せないような内容で、先制を許した3回終了時には球数も62球とかさんでいった。
しかし、その裏に味方が同点に追いつくと、4回からは石田のエンジンも温まり始め、6回まで被安打1本、与四球1の熱投を披露。これで3試合連続のクオリティ・スタートを達成と、先発としての役目を十分果たした。
すると、同点で迎えた7回から三嶋が登場。「チームに流れを持ってくるように」と胸に秘めたマウンドは、威力のあるストレートを戸柱のミット目掛けて投げ込み、三者三振と目論見通りのピッチングを披露。
勢いのついたチームはその裏、一死一・二塁のチャンスで7番の戸柱が打席へ。ヤクルトの2番手・木澤尚文の代わり端を捉えると、打球はベイスターズファンの陣取るライトスタンドの最前列に飛び込む決勝3ラン。値千金のひと振りで、じりじりとしたゲームの雰囲気を一気に晴らしてみせた。
お立ち台でもお約束の「サイコーです!」を繰り返した後、三嶋に対して「一輝が本当に頑張って0で抑えてくれましたし、僕らこう見えて同級生なので、何とか一輝に勝ちがつけばいいなと思って必死に行きました」とコメント。
続けて、「健大がすごく頑張ってくれたので、健大のことも皆さん褒めてあげて下さい。お願いします!」とキャッチャーらしい気遣いも見せていた。
指揮官も“最敬礼”
試合後、戸柱は殊勲打について「チーム全体でやっている“後ろにつなごうという”意識で、それに乗っかった感じですね」と周りに感謝。「しっかりバットに乗ってくれたので、外野の頭は超えるだそうなと思いました。結果的に最高になったので良かったです」と喜びを噛み締めていた。
また、三嶋には「去年苦しい思いをしたひとりですし、僕らにはわからない苦しみと辛さがあったと思います」とし、「僕が凄いなと思ったのは、石田のあと三嶋。あそこは大学の先輩・後輩ですし。三嶋を気にかけていた石田も本当にいいピッチングして、そういう繋がりの中で本当に良かったと思いますね」と2人のピッチャーとの関連性含め、感慨深く振り返っていた。
三浦大輔監督も「本当によく打ってくれましたね。追い込まれながらも喰らいついて。大きなホームランでした」と戸柱に最敬礼。このストーリー性のある1勝は、同時に横浜スタジアム8連勝となり、ガッチリと首位キープ。この勢いは本物だ。
取材・文=萩原孝弘