◆ 「彼のバッティングができたのかな」
ヤクルトは5日、神宮でのDeNA戦に10-9で勝利。1点ビハインドで9回二死まで追い詰められるも、ホセ・オスナの安打に続いて長岡秀樹の2ランが飛び出し、土壇場で試合をひっくり返した。
この日は4番の村上宗隆が4号2ランを叩き込み、7回には中越えの二塁打も飛び出して2安打2打点と奮起。ドミンゴ・サンタナと中村悠平にも一発が飛び出すと、濱田太貴も2本のアーチを含む3安打4打点の大暴れ。チーム全体で16安打・6本塁打と打線が火を噴いた。
投手陣も相手に5発・13安打を許して大乱戦となったが、最後は劇的な一発で逆転サヨナラ勝ち。髙津臣吾監督も「打線は本当によく頑張っている」と振り返り、殊勲の長岡には「しっかり狙い球を絞って、強く遠くに打てるのが彼の持ち味。彼のバッティングができたのかな」と賛辞の言葉を贈った。
これがプロ初のサヨナラ本塁打となった長岡は、お立ち台で「まず塁に出ることを意識した」と語りつつ、「上がり過ぎたかなと思ったんですけど、風のおかげです」とコメント。スタンドからは大きな拍手と声援が沸き起こった。
試合開始前の時点で打率.167と苦戦が続いていたが、この日は3安打2打点の大暴れ。3戦連続安打と状態は上向きで、復調ぶりをアピールしている。
また、同じく復調の気配を見せている村上について、指揮官は「打席の中で駆け引きができるようになってきた。ストライクを見逃してもなんとなく余裕があるように見えるし、仕掛けたスイングが強く見える」と語り、「少し上がってきているのかな」と主砲の復活に期待を寄せた。
前日の悔しいサヨナラ負けを払拭し、ここから上昇気流に乗っていくことができるか。打線が活発になってきただけに、投打が噛み合えば勝ち星もさらに積み重ねることができるはず。逆襲の気配が漂うリーグ王者から目が離せない。
取材・文=別府勉(べっぷ・つとむ)