話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は国指定の難病を乗り越え、見事な復活登板を見せているDeNAの三嶋一輝と中日の福敬登、2人のリリーバーにまつわるエピソードを紹介する。
「福投手もきっと大丈夫」と「もう大丈夫」。ともに国が難病指定する「黄色靱帯(じんたい)骨化症」の手術から、見事な復活劇を果たしたDeNAの三嶋一輝と中日の福敬登。この2人の復活劇には、別々のサインボールを通じた知られざるメッセージの応酬があった。改めて彼らの遂げた復活劇を、支えてくれた恩人たちへのエピソードとともに振り返りたい。
昨年(2022年)8月に黄色靱帯骨化症の手術を受けた三嶋一輝の公式戦復帰は、今季4月1日の阪神戦。329日ぶりとなる1軍マウンドを無失点に抑える復活劇を見せた。
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そして、待望の復帰後初勝利は4月26日のヤクルト戦。同点の7回にマウンドに立ち、3三振を奪って無失点に抑えると、その直後に味方が勝ち越し。355日ぶりの勝利投手に輝くとともに、チームはハマスタ8連勝。試合後、お立ち台で喜びのマイクを握った三嶋は、小さな子どもを抱えながら復帰を支えてくれた「妻」への感謝の言葉を残した。
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そして、感謝の言葉は元自主トレ仲間であり、指揮官として復帰を誰よりも待ち望んでくれた三浦大輔監督にも。
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その三浦監督は、帰ってきた三嶋に対してこんなエールを送る。
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三浦監督の言葉を実践するように、三嶋は復帰後初勝利の試合から、5試合に投げて3勝2ホールド。ここまで10試合に投げて防御率は0.00。首位を走るチームの原動力になっているのが何とも頼もしい。
一方の福が「黄色靱帯骨化症」とわかったのは、昨年9月17日のヤクルト戦後。リリーフ登板をした際に違和感を覚えた左足の診断を受けたところ国指定の難病だとわかり、10月末に手術。その後、リハビリを続けてきた。
今季、2軍では開幕から登板を重ね、9回1/3を投げて防御率1.93の安定感で1軍昇格。5月5日、本拠地バンテリンドームの巨人戦で230日ぶりとなる1軍復帰登板を果たし、1回を無失点ピッチング。しかも、福が投げた時点では1点ビハインドだったにもかかわらず、直後に味方打線が爆発し、一挙6得点で逆転勝利。チームの連敗も止めて勝利投手となった福は、まさに「福の神」として話題を集めた。
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まずはファンに向けて感謝の言葉を発した福は、闘病を支えてくれた家族へのメッセージも忘れなかった。
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また、この日の復活登板に際しては、マウンド上で「帰ってきたよ」を意味する手話でも感謝を表現していた福。高校で手話を学んだ経験もあるため、これまでにも聾学校の生徒を招待するなど交流を重ねてきただけに、聴覚障害にも負けずに応援をしてくれるファンへのメッセージにも強い思いがあった。
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三嶋と福。「黄色靱帯骨化症」から復帰を果たした2人には、こんなやり取りもあった。
三嶋にとって、本拠地・ハマスタでの復帰登板となった4月9日の中日戦。見事な救援投球を見せてお立ち台に立ったあと、中日側のスタンドにファンサービスのボールを投げ込んだ三嶋は、そのボールに妻から掛けてもらっていた言葉「絶対、大丈夫だよ」をリレーするかのように「福投手もきっと大丈夫」とサインしていたのだ。
ファンを通じて拡散され、SNSで大きな反響を呼んだこのサインボールの意味について、三嶋は後日、インタビューでこう応えている。
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だからこそ、福も復帰登板をした5月5日の試合後、ファンに向けて投げ込むファンサービスのボールに、「もう大丈夫」とアンサーメッセージを記していた。福もまた、三嶋とともにこの病気に苦しむ人たちに向けての言葉を忘れていない。
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2人の「大丈夫」のリレーが、さらに多くの人に届くことを願って止まない。
「福投手もきっと大丈夫」と「もう大丈夫」。ともに国が難病指定する「黄色靱帯(じんたい)骨化症」の手術から、見事な復活劇を果たしたDeNAの三嶋一輝と中日の福敬登。この2人の復活劇には、別々のサインボールを通じた知られざるメッセージの応酬があった。改めて彼らの遂げた復活劇を、支えてくれた恩人たちへのエピソードとともに振り返りたい。
DeNA・三嶋一輝の復活劇
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『歓声を聞いて、震えた。今日もいろんな人に支えてもらった。次に進める第1歩になったと思います』
~『日刊スポーツ』2023年4月1日配信記事 より
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そして、待望の復帰後初勝利は4月26日のヤクルト戦。同点の7回にマウンドに立ち、3三振を奪って無失点に抑えると、その直後に味方が勝ち越し。355日ぶりの勝利投手に輝くとともに、チームはハマスタ8連勝。試合後、お立ち台で喜びのマイクを握った三嶋は、小さな子どもを抱えながら復帰を支えてくれた「妻」への感謝の言葉を残した。
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「5歳と1歳の子がいるんですけど、大変な時期にもかかわらず、野球のことだけを考えてほしいと。『絶対、大丈夫だよ』という言葉も掛けてくれたし、すごく感謝してます」
~『日刊スポーツ』2023年4月27日配信記事 より
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そして、感謝の言葉は元自主トレ仲間であり、指揮官として復帰を誰よりも待ち望んでくれた三浦大輔監督にも。
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『僕が手術して、1軍の戦力にならなかったら、監督も悲しむだろうから、本当にびっくりさせられるくらいね、絶対に戻ってきてやろうと』
~『日刊スポーツ』2023年4月27日配信記事 より
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その三浦監督は、帰ってきた三嶋に対してこんなエールを送る。
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『今年は投げるたびに(病気のことを)ずっと言われるんでしょうけど、シーズンが終わるころには、そういうのを忘れさせてくれるぐらいの活躍をしてほしい』
~『中日スポーツ』2023年4月26日配信記事 より(三浦監督の言葉)
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三浦監督の言葉を実践するように、三嶋は復帰後初勝利の試合から、5試合に投げて3勝2ホールド。ここまで10試合に投げて防御率は0.00。首位を走るチームの原動力になっているのが何とも頼もしい。
中日・福敬登の復活劇
一方の福が「黄色靱帯骨化症」とわかったのは、昨年9月17日のヤクルト戦後。リリーフ登板をした際に違和感を覚えた左足の診断を受けたところ国指定の難病だとわかり、10月末に手術。その後、リハビリを続けてきた。
今季、2軍では開幕から登板を重ね、9回1/3を投げて防御率1.93の安定感で1軍昇格。5月5日、本拠地バンテリンドームの巨人戦で230日ぶりとなる1軍復帰登板を果たし、1回を無失点ピッチング。しかも、福が投げた時点では1点ビハインドだったにもかかわらず、直後に味方打線が爆発し、一挙6得点で逆転勝利。チームの連敗も止めて勝利投手となった福は、まさに「福の神」として話題を集めた。
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『こうやって打者を抑えることができたのは、皆さんの支えがあったから、僕の気持ちが強くなれたと本当に感じています。僕は拍手がなかったら打たれていたと思うので、感謝の思いでいっぱいです』
『野球の神様って本当に見ているんだなと感じました』
~『サンスポ』2023年5月5日配信記事 より
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まずはファンに向けて感謝の言葉を発した福は、闘病を支えてくれた家族へのメッセージも忘れなかった。
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『今日、たまたま家族が見に来ているので、本当にいい日になったなと思いますし、子どもの日なので、子どもに勇気を与えられるような存在になりたいというのは、リハビリをしながら考えていました』
~『サンスポ』2023年5月5日配信記事 より
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また、この日の復活登板に際しては、マウンド上で「帰ってきたよ」を意味する手話でも感謝を表現していた福。高校で手話を学んだ経験もあるため、これまでにも聾学校の生徒を招待するなど交流を重ねてきただけに、聴覚障害にも負けずに応援をしてくれるファンへのメッセージにも強い思いがあった。
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『僕は励まそう、野球の楽しさを知ってほしいと思って交流を始めたけど、逆に受け取ったもののほうが大きい。脚がしびれるようになってから見える景色を、新鮮に思えるようになった』
~『中日スポーツ』2023年5月6日配信記事 より
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三嶋と福 サインボールを介したメッセージ
三嶋と福。「黄色靱帯骨化症」から復帰を果たした2人には、こんなやり取りもあった。
三嶋にとって、本拠地・ハマスタでの復帰登板となった4月9日の中日戦。見事な救援投球を見せてお立ち台に立ったあと、中日側のスタンドにファンサービスのボールを投げ込んだ三嶋は、そのボールに妻から掛けてもらっていた言葉「絶対、大丈夫だよ」をリレーするかのように「福投手もきっと大丈夫」とサインしていたのだ。
ファンを通じて拡散され、SNSで大きな反響を呼んだこのサインボールの意味について、三嶋は後日、インタビューでこう応えている。
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『本当はヒーローインタビューで言いたかったんですけど、勝ったチームの選手がそういうことを言うのを嫌がる人もいると思ったので、ボールに書いたんですよ。福からは、同学年の福谷(浩司)を通じて連絡をもらったんですけど、僕が経験して知るかぎりのことは伝えました。本当、この病気のつらさってなってしまった当人にしかわからない。だから福のことは気になるし、彼のためにも、またこの病気で苦しんでいる人たちが見ているんだって思って、僕はがんばりたいんですよね』
~『Number Web』2023年4月24日配信記事 より
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だからこそ、福も復帰登板をした5月5日の試合後、ファンに向けて投げ込むファンサービスのボールに、「もう大丈夫」とアンサーメッセージを記していた。福もまた、三嶋とともにこの病気に苦しむ人たちに向けての言葉を忘れていない。
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『僕と三嶋さんで症状の個人差はあるけど、全部包み隠さず伝えたい』
~『中日スポーツ』2023年5月6日配信記事 より
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2人の「大丈夫」のリレーが、さらに多くの人に届くことを願って止まない。