【東京六大学野球・春季リーグ戦】
○ 明大　15 － 4　早大 ●
（13日・神宮）

　リーグ3連覇を狙う明大は「6番・右翼」で初スタメンに名を連ねた今井英寿外野手（2年・松商学園）がリーグ戦初安打＆初本塁打を含む4安打4打点の活躍を見せるなど、17安打15得点の猛攻で早大に大勝。3シーズン連続となる43度目のリーグ優勝に王手をかけた。

　主導権を完全に奪い返す一打となった。狙いを定めたように、今井は鋭くバットを振り抜いた。1−1の3回一死満塁、フルカウントから早大エース・加藤の高めに浮いた直球を鋭く振り抜き、右翼線へタイムリー二塁打。二塁ベースに到達すると、自軍ベンチへ向かって右腕でガッツポーズし、「1年生の頃、フレッシュリーグの時から神宮でヒットが出ていなかった。今までで一番嬉しいヒットでした」と声を弾ませた。

　まさに有言実行の活躍だった。この日は「6番・右翼」でリーグ戦初スタメン出場を果たし、「いつ言われてもいいように、前の週から準備はしてきた。今回スタメンと言われた時は驚きとかもなく、『やってやるぞ、打ってやろう』という気持ちがあった」。通算4打席目で初めて「H」ランプをともすと、バットの勢いは止まるどころかさらに加速。4点リードの4回二死一・三塁では俊足を生かして三塁へのタイムリー内野安打、6回二死では早大の3番手・飯塚脩の高め直球を完璧に捉え、リーグ戦初本塁打となる右越えソロを放つなど、4安打4打点と躍動。高校通算20本塁打を誇る左のスラッガーは「大学に入ってから、神宮で活躍したいという思いがあった。結果的にホームランが出て、打てた時は本当に嬉しい気持ちでいっぱいでした」とメモリアルアーチを笑顔で振り返った。

　初物づくしの大暴れだった。リーグ戦初安打、初適時打、初アーチ、初猛打賞とスタメン起用に応える活躍ぶりに、田中武宏監督は「春先のオープン戦から、数少ない打席の中でいいピッチャーをかなりアジャストする能力は抜けていた。4安打は出来過ぎかなと思うんですけど、彼の持っている力からすればそう驚くことではない」と称賛した。

　明大は14日の早大2回戦に勝利すれば、3シーズン連続となる43度目のリーグ優勝が決まる。「今回の活躍はチームメートのおかげでもある。もう一度気を引き締めて、継続的に結果を出せるようにやっていきたい」と背番号37。自慢の打棒を武器に暴れ回り、チームのラストスパートを加速させる。

取材・文＝灰原万由（はいばら・まゆ）