連敗ストップへ主砲が燃えた
7連敗に加え、3位転落の危機に直面していたDeNA。気迫を前面に出したプレーでじわじわと広島を追い詰めると、8回に一挙4得点の猛攻で逆転に成功。ベンチ裏には久しぶりにベイスターズらしい賑やかな光景が帰ってきた。
序盤は決していいムードではなかった。得意の横浜スタジアムで中12日と満を持してマウンドに上った石田健大だったが、初回から四球絡みで先制点を許す苦しいピッチングを強いられる。
その裏、この日2番に入った関根大気のヒットを皮切りに二死二塁のチャンスを作り、4番・牧秀悟が逆転2ラン。“今日こそは”の空気がハマスタを支配したが、石田が直後の2回に3安打を集中されて再逆転を許し、2回裏のチャンスは併殺で潰す厳しい展開となってしまった。
その後は動きのないままゲームは進んで行ったが、石田は5回に二塁打と自らの野選も絡んでピンチを招き、犠飛で失点。2-4とされると、裏の攻撃で代打を送られてお役御免となった。
昨季は8試合に先発して5勝1敗、防御率は1.97と抜群の安定感を誇り、今季も3度の先発で失点がわずかに2と得意のホーム・横浜スタジアムでの登板だったが、期待に応える結果を残すことはできなかった。
それでも前日に続いて中継ぎ陣が無失点で踏ん張り、守りでも牧の好守など最後まで諦めずにファイティングポーズを取り続けると、7回裏に代打・楠本泰史の内野ゴロの間に1点をもぎ取って反撃の狼煙をあげる。
さらに8回には先頭の佐野恵太が四球で歩き、ガッツポーズを見せながら闘志を前面に押し出した直後、関根がしっかりと送りバントを決めると、宮﨑敏郎のサードへのゴロをデビッドソンが後逸。一死一・三塁となり、4番の牧がこの日2本目となる本塁打をライトスタンドに叩き込んだ。
主砲のひと振りで6-4と試合をひっくり返すと、スタジアムのボルテージは最高潮。押せ押せムードの中、続くネフタリ・ソトもレフトへ通算150号となるメモリアル弾を打ち込み、試合を決めた。
ハマった番長采配
この日は2番に関根を入れ、5番にソトを配置するなど打線をテコ入れ。ゲームを決めた8回には、先頭出塁の佐野に迷わず代走・神里和毅を送り、失策で出塁した宮﨑にも代走・柴田竜拓を送るなどの積極采配がスバリ的中。三浦監督の決断も勝利を手繰り寄せた。
試合後、指揮官は打線の入れ替えについて「流れ的なモノもありますし、ずっと桑原・関根という(5番・6番の)流れも悪くはなかったんですけど」としながらも、「ソトの状態が上がってきたというところで5番に入れて、2番にはいま一番適任の関根かなというところですね」と説明。
関根には「練習中に“スタイルを変えないでいいから”と。“2番だから何かを変える必要なないし、いまのままの自分で打席に入ってくれ”と伝えて、6番でやってきたことを2番でもやってくれましたと」と試合前のやり取りを明かしながらその働きぶりを称えた。
また、8回の積極策には「勝負しました。あそこで追いつくこともそうですし、逆転のランナーというところでも、ベンチに居るメンバー全員で戦うというところで準備しました」と勝負感も冴えた。
「牧がしっかり『これぞ4番』という仕事をしてくれました」と最高の結果に喜びながら、一発回答の主砲に最敬礼した。
長いトンネルを抜けた番長ベイスターズだが、「ミスしたことに目を背けず、そこに常に取り組んで、チーム力を上げていかないといけない」と気を引き締めた指揮官。頂を狙うためには、この1勝で浮かれるわけにはいかない。
取材・文=萩原孝弘