【東京六大学野球・春季リーグ戦】
○ 明大　11 － 3　立大 ●
（21日・神宮）

　3季連続優勝を決めた明大は立大に連勝し、勝ち点5で完全優勝を果たした。マネージャーを兼任する石田朗投手（4年・明治）が7回から3番手で登板し、リーグ戦デビュー。大歓声に包まれながら、1回無失点の好投を披露した。

　石田がマウンドへ向かうと、紫紺に染まった明大の応援席からはこの日一番の大歓声が鳴り響いた。1球投げるごとにスタンドから拍手がわき上がる中、味方の守備にも助けられて1回1安打無失点。「7回が終わった時点で登板を言い渡されたので、その時点が一番緊張していた。マウンドに上がってからは、少しずつ緊張が解けていって楽しむことができた」と神宮のマウンドを振り返った。

　明大は前カードの早大戦で2連勝を収め、見事リーグ3連覇を達成したが、この日は勝ち点5の完全優勝に加えてもう一つのミッションが課されていた。それは、投手兼マネージャーの二刀流でチームを支える石田を神宮のマウンドに上げること。右腕はここまで開幕カードの東大2連戦と前日の立大1回戦でベンチ入りメンバーに名を連ねており、ブルペンで肩を作るも登板機会はなし。田中武宏監督は「『なんとか朗を投げさせるぞ』とチームにずっと言っていた」と明かした。

　指揮官の言葉を胸に、ナインも奮闘。6回までに8得点を奪うなど、計17安打11得点の猛攻で先発全員安打を記録。1週間前、リーグ3連覇を決めた早大2回戦では記録員としてベンチ入りしていた石田が、この日はブレザーではなく背番号41のユニホームを着用し、見事なリーグ戦デビューを飾った。魂のこもった19球に、田中監督は「結果で彼が出してくれて、本当に嬉しいです」と感慨深げだった。

　この日最も神宮をわかせた男の好きな言葉・座右の銘は、ソフトバンク・王貞治球団会長兼特別チームアドバイザーの名言で『努力は必ず報われる。もし報われない努力があるならば、それはまだ努力と呼べない』。石田の日々の努力は、ラストイヤーの春にようやく報われた。

取材・文＝灰原万由（はいばら・まゆ）