ストレートを磨く
「毎試合毎試合課題が出てくるので、それを潰しながら使える時間を使いながら練習をやっています」。
ロッテの育成2年目・田中楓基は、試合で出た課題を克服し、一歩一歩成長している。
プロ1年目の昨季は9月21日に行われた楽天との二軍戦で公式戦デビューを飾り、10月のフェニックス・リーグで5試合に登板し、本格的に実戦で投げ始めた。今季は4月1日の日本ハムとの二軍戦で初登板を果たすと、ここまで6試合・5回1/3を投げ、防御率6.75。19日に行われたZOZOマリンスタジアムでのDeNAとの二軍戦に、2-2の8回に登板するも1失点で敗戦投手となった。
田中楓の投球を見ていると、ストレート中心の力勝負で挑む傾向がある。4月16日の楽天との二軍戦は全16球中15球、1回を無失点に抑えた5月6日の巨人との二軍戦でも全17球中12球、19日のDeNAとの二軍戦でも全14球中12球がストレートだった。
「まっすぐが、しっかりラインとか強さが出てこないと変化球がいきてこない意識の中でやっています。頑張ってまっすぐで勝負できるようにという意識でやっていました」。ストレートの割合が多いのも意図を持ってのことだ。
その中で、ストレートの最速は高校時代の150キロ1キロ更新し、現在は最速151キロ。「高校の時よりも、アベレージが速くなっている。そこはトレーニングの成果だったり、練習した成果が出てきているのかなと思います」。具体的にはトレーニングで、ストレートの質を上げることを意識して取り組んでいる。
フォークの習得に励む
変化球は高校時代、縦と横のスライダーを武器にし、入団直後の取材でも「あれをずっと投げてきているので武器にしています」と話していたが、現在は「そこが武器かなと思って入ってきたんですけど、まっすぐで空振りだったり、ファウルも取れないというのが入ってきてからすぐにわかりました。まずはスライダーよりも、まっすぐに課題を絞って、やっています」と、今はストレートを磨くことに重点を置いている。
ストレートを磨きながら、実戦ではストレート、スライダーだけでなく、縦に落ちる変化も投げ始めている。4月6日のヤクルトとの二軍戦では、1-6の7回無死走者なしで太田賢吾に0ボール2ストライクからボールになったが低めに137キロのフォークを投げた。「横の変化しか持っていないので、縦の何か落ちる球、チェンジアップ、フォークであったり、どちらかはいずれ投げられるようになりたいなという意識で投げています」。
まだフォークを投げていて「自信はないですね」と話すが、「いろんな方に聞きながら、教えてもらいながらやっています。今年中にいいものにできたらいいなというイメージでやっています」と、形にしていきたいという考えでいる。
目標の80キロはクリアも
体づくりに関しても入団直後の取材で「まずはしっかり体重を上げていきたい。体脂肪もそうですし、筋肉量もあげていきたいと思っています。今は76キロなので、80ちょいを目指してやっています」とのことだったが、この1年で体重は「81、2キロくらいですね。目標にしていたところはクリアできていますが、それでも足りないなと思うところがあったので、今後体もまだ大きくしながらやっていきたいと思います」と、体を大きくしていくつもりだ。
日々の体づくりでは「コーチの方と話をしながら、腰痛が去年あったので、あまり試合に序盤なかなか投げられなかったところがありました。そういうところを気を遣いながら、怪我をしない体というところですね」。
「しっかりまっすぐで勝負して、1回を安定して抑えられる、安心される、任されるピッチャーになりたいなと思います」。1つ1つ自分に課した課題をクリアし、将来的には背番号二桁、その先の一軍で投げられるように、今は土台を固めていく。
取材・文=岩下雄太