本拠地で一発
「(マリーンズファンの前で)ホームランを見せたいという気持ちはあります」。
入団直後の取材でこのように話していた地元千葉県出身の池田来翔が24日の西武戦で、本拠地・ZOZOマリンスタジアムでは初の本塁打を放った。
「小学生時代は、地元の球団だったので応援していました」と、ファンとして何度も足を運んだZOZOマリンスタジアム。本拠地初本塁打が生まれたのは8-0の4回、一死走者なしの第3打席、西武の2番手・本田圭佑が投じた初球の112キロカーブをフルスイングした打球は弾丸ライナーでレフトスタンドに突き刺さった。
「自分のスタイルなので、無意識というか、意識はしているんですけど、甘い球が来たら振っていこうというのは自分の中であります」と、早いカウントから積極的に仕掛ける池田らしい、初球を捉えた一撃だった。
開幕ファームスタートも
池田はルーキーイヤーの昨季、プロ初安打を放ったが、一軍での安打はわずか2安打、打率.091に終わった。シーズン終了後の10月に行われたフェニックス・リーグから「去年一軍投手のストレートや小さい変化球、ツーシーム、カットボールについていけなかったので、いろんな人に相談しながら、もっとコンパクトにした方がいいんじゃないかということでそうしました」と、コンパクトなフォームに変更。
シーズンオフの自主トレでは「下半身でバッティングと守備をするイメージしながらウエイトトレーニングをやっていました」と鍛え、2月12日の楽天モンキーズとの国際交流試合で3打点、2月15日のヤクルトとの練習試合で本塁打を含む2安打とアピール。オープン戦に入ってからも3月4日のヤクルト戦、11日の楽天戦でマルチ安打を記録するなど、打率.286をマークしていたが開幕はファームスタート。
「一軍で自分の結果を出せるようにと思って練習していました」。開幕直後、打率1割台に落ち込む時期もあったが、「自分のポイントでしっかり確率良く打つことを僕的にやっていました」と4月15日の楽天との二軍戦で2安打すると、同試合から13試合連続安打。5月5日の巨人との二軍戦では本塁打を含む4安打の活躍で打率は.330に上昇し、満を持して5月6日に今季初昇格を果たした。
「最初に結果出たので、ファームでやってきたことが出たのかなと思います」と、今季初出場となった6日のソフトバンク戦で2安打、9日の西武戦でプロ初本塁打を含む3安打、11日の西武戦でも2安打と結果を残した。
『1番・三塁』でスタメン出場した13日の日本ハム戦で4打数0安打に終わると、しばらく打席に立つ機会はなかったが、「相手のピッチャーのこともよく見ていますし、同じ右バッターの時にどういう攻め方されているのか見ています。日々勉強しながらやっています」とベンチで過ごす時間を無駄にしなかった。
1週間ぶりのスタメンとなった20日の楽天戦は本職ではない一塁での出場となったが4安打すると、現在3試合連続安打中だ。「ファームでやってきたことが少しずつ成果として出ている。それを継続するのが一軍だと思います」と、浮ついた様子は全くない。
「まずは1試合、1試合、自分のできることをやれば自ずと結果は出てくると思うので、ヒット何本というよりかは自分のやるべきことをやって、一軍に定着できるようにやっていきたいと思います」。ここ数年、マリーンズの若手選手は短期間で活躍する選手は出てきているが、一軍定着、レギュラー定着がひとつの壁になっている。そこを乗り越えた先に、明るい未来が待っている。
取材・文=岩下雄太