“ルーズベルトゲーム超え”の死闘
両軍合わせて22安打、16得点。4時間47分に及ぶ雨中の打撃戦は、9-7でソフトバンクがヤクルトとのシーソーゲームを制した。
7-7の同点で迎えた延長10回表、先頭の上林誠知がライトへの安打で出塁。犠打を挟み、代打・野村大樹が三遊間を抜く安打で一死一・三塁と勝ち越しのチャンスを作ると、中村晃は四球を選んで一死満塁とチャンス拡大。ここで打席に入った今宮健太が清水昇のフォークをレフト線へ弾き返し、これが勝ち越しの2点適時二塁打に。ロングゲームに終止符を打った。
15日放送のCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』に出演した解説者の池田親興氏は、「結局、今宮のところに回ってきた」とひと言。実はこの試合、今宮は4回に反撃の口火を切る二塁打を放っており、5回には一時同点に追いつく犠飛も放っていたが、5回裏の守備では3失点につながるミスを喫していた。
こうして迎えた10回表、一死満塁でヤクルト6番手・清水昇との勝負。このシーンについて、池田氏は「今宮の前にフォアボールを出している。変化球があまり決まっていなかったので、ここではバッテリーが真っすぐで押してくるんですよ」とし、満塁になったことで配球に変化が起こったと分析。
この打席では1球目から4球連続でストレートを投じられるのだが、外低め中心の投球だったところで、1ボール・2ストライクからの4球目だけが捕手の要求とは異なり、インハイに外れる。ここで池田氏は「コースは(要求とは)違ったんですが、今宮が振ってきた。それを見てフォークを持っていくんですね」とし、このファウルが5球目のフォークを呼び込んだのだと解説した。
ヤクルトバッテリーが決めに行ったフォークは落ち切らず、今宮は体勢を崩しながらもバットにうまく乗せて左翼線へ。「今宮の調子が上がっているところで、タイミングは合っていないんですがしっかりとボールを拾うことができた。この辺の駆け引きは非常に面白いところでしたね」と語り、勝負を決めたポイントについて深堀りした。
手に汗握る場面、紙一重の勝負の世界の駆け引きは、野球の醍醐味の一つ。最後は今宮が状態の良さでわずかに上回り、チームに大きな勝利をもたらした。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2023』