指揮官も「率先して打線に勢いをつけてくれました」
キャプテンの意地の一打が、ベイスターズ打線に火を着けた。ロッテを相手に10-1と大勝。交流戦初の優勝に望みを繋いだ。
スコアレスの3回、先頭・京田陽太が安打で出塁すると、続く大貫晋一はロッテのバントシフトにも怯まず、しっかりと得点圏に走者を進める犠打を決める。1番に戻って関根大気は冷静に四球を選び、この日2番に入った蝦名達夫は死球で満塁とチャンス拡大。ここで3番・佐野恵太が打席に入る。
1ストライクからの2球目、外に逃げるチェンジアップをうまくすくうと、打球は左中間に落ちる走者一掃の適時二塁打に。一気の3得点で勢いに乗った打線はそこから牧秀悟の適時打、宮﨑敏郎の2ランと畳みかけて一挙6点のビッグイニングを作った。
序盤から援護をもらった先発の大貫も、飄々と6回を1失点に封じる好投でゲームメイク。3回以降は追加点が奪えなかった打線も7回に二死満塁から戸柱恭孝が3点適時二塁打を放ち、8回にも大和の適時打で加点。11安打・10得点で大勝した。
試合後、お立ち台に上がった佐野は「昨日打てなくて悔しい思いをしたので、今日何とかしてやろうと思って打席に立ちました。昨日打てなくてなかなか寝れなかったので今日はぐっすり寝たいなと思います」とリベンジの一打に胸を張った。
チームを率いる三浦大輔監督は、ゲームのポイントとなった3回の攻撃に「ベンチが一気に集中したイニングでしたね」と満足げ。
「打つだけではなく、フォアボールやデッドボールも絡めて、後ろに後ろに繋げてというところが大量点に繋がりました」と評価。殊勲の佐野についても「キャプテンが率先して打線に勢いをつけてくれました」と称えた。
佐野は改めて「もう落とせない試合が続く中での打席だったので、悔しさは大きかった」と前日の悔しさについて振り返り、交流戦優勝争い真っ只中での凡打に、忸怩たる思いも増していたと明かす。
その中で、「昨日自分が打っていれば勝てるはずの試合だったので、今日やり返してやるんだという気持ちで球場に来ていた。チャンスで回ってきて、今日は仕事ができてよかったなと思います」と語り、その通りの結果となったことに安堵の表情を見せた。
ロッテ戦の前までは3試合連続で無安打に終わるなど、やや苦しむ姿も目立っていたキャプテン。それでも、「バッティングの状態もここまでいまひとつですけど、気持ちを切らさず、投げやりになることなくやれてこれたのが今日の結果になった」と手応えを示す。
最後に「これからの試合で打って、活躍して、勝てる試合を増やさなければいけない」と誓ったキャプテン。胸にあるキャプテンマークの中の星も、いつもより輝きが増して見えた。
取材・文=萩原孝弘