ここまでの自己評価は?
「打つことで貢献したいというのはありますし、打ちたいという気持ちが強い」。
昨季はプロ入り後自己ワーストの28試合、12安打、打率.176、1打点に終わったロッテの藤岡裕大は、今年2月の春季キャンプ中の取材でこのように意気込んでいたが、ここまで40試合に出場して、打率.268、8打点、得点圏打率は.350の成績を残す。
「それなりに打ててはいますが、全然満足していないですね」。
満足していない部分について「打てたり打てなかったり、波がまだまだあるので、フォーム的にもバラバラするところが気になっているかなと思います」と説明した。
「打ちたいから」と今季打撃フォームを変更。春季キャンプ中は「日によってですね。いい時はいい感じで打てているなという時もありますし、ああちょっと違うなという時もあります」と話し、開幕直後の4月の取材では「悪くはないです」と話していた。
交流戦を終えた現在はというと、「わりかししっくりきているところはありますし、ここがこうなっているなと、微妙に修正して試合に挑めているのが、今年は良いのかなと思います」とのことだ。
「1日1日試行錯誤しながらやっていますし、ピッチャーによって打つ方向だとか、球種なんかを整理して打席の中で勝負できているのかなと思います」。
併用のメリット、勝負強い打撃…
井口資仁前監督時代は固定で起用されることが多かったが、今季から就任した吉井理人監督体制では、友杉篤輝との併用での起用になっている。
併用によるメリット、コンディション維持、打撃面での難しさなどあったりするのだろうかーー
「コンディションはそんなにないですけど、打席の感覚であったり、出続けていた方が、なんていうんですかね、いい時はそのままガッと行けるのでいいですけど、悪い時になると苦しいので、いいところもあれば、悪いところもあるのかなと思います」。
その中でも、今季の藤岡は得点圏打率.350という数字が示すようにとにかくチャンスで勝負強さを発揮する。
6月3日の阪神戦では、3-5の9回一死二、三塁で湯浅京己が2ボールから投じた3球目のストレートをライト前に弾き返す同点2点適時打を放てば、6月10日の広島戦では4-4の9回二死二、三塁の第5打席、栗林良吏が1ボール1ストライクから投じたカーブをセンター前に弾き返すサヨナラ打と、勝負所での一打も多い。
「特にランナーがいようがいなかろうが変わることはないんですけど、よりチャンスの時は手出しをしていこうという思いで打席に立てています」。
打順も昨季までは8番や9番といった下位を打っていたが、今季はスタメン出場する試合のほとんどが2番だ。下位から上位に繋ぐ役割からクリーンナップに繋ぐ立場に変わった。打順が変わることの変化について藤岡は「特にないですね。打席が下位より多く回ってくるので、なるべく多く塁に出ようという思いを持っています」と、出塁を心掛ける。
7月は目前に迫っており、暑い季節、チームとしても勝負の季節に突入していく。「暑いのが苦手なんですけど、変えることなくしっかり体のケアを大事にしてこれからが本当の勝負だと思うので、これからしっかりもっとレベルを上げられるように1日1日を送りたいなと思います」。ファンの熱い声援を受けて、この先も躍動してもらいたい。
取材・文=岩下雄太