◆ 拙守に感情爆発
連敗ストッパーを託されたDeNAのトレバー・バウアーだったが、バックにも足を引っ張られて2点ビハインドの状況で無念の6回降板。その後チームは2点を取り返して追いつき、延長戦まで持ち込んだものの、最後まであと1本が出ず“痛み分け”に終わった。
先発マウンドに登ったバウアーは初回、3番・高橋周平に適時打を浴びてわずか“4球”で先制点を許すまさかのスタートに。2回にも名手・大和のエラーをキッカケに1点を失うなど、苦しいピッチングを強いられる。
3回以降は立ち直って5回までの3イニングを無失点で切り抜けたが、6回に思わぬ事態が待ち受けた。
まずは先頭・石橋康太の内野フライをネフタリ・ソトと牧秀悟の一塁・二塁コンビがお見合い。内野安打となって出塁を許すと、続く龍空には初球からセーフティバントを決められて結果は2者連続の内野安打となる。
無死一・二塁から後続2人を斬って二死としたものの、岡林勇希の放ったセカンドへのゴロは捕球した牧が一塁を間に合わないとみて、二塁を駆け抜けていた一塁走者・龍空を仕留めるべく二塁に送って挟殺プレーを選択。相手のミスに付け込む好判断と思いきや、この挟殺プレーを決めることができずにまさかのオールセーフ。二死満塁とピンチが拡大した。
これにはバウアーも“Fワード”を連発しながら感情を爆発。なんとか次打者の高橋周平を投ゴロに打ち取ると、自らファーストベース目掛けて猛ダッシュし、一塁を踏んでピンチを切り抜けた。
勢いのままにボールもスタンドへと投げ入れ、雄たけびをあげながらベンチ裏へ。この日はここまででお役御免となり、6回を投げて105球、被安打10・奪三振6で2失点(自責は1)という内容で試合から退いた。
◆ 「優勝するチームの野球が、あのイニングはできていなかった」
試合後、三浦大輔監督はバウアーに関して「我慢して粘ったかなと思います」とまずまずの評価。「もちろん守備の乱れも、ミスもありましたけど、その中でも踏ん張れたというところ。悪かったら踏ん張れなかったと思いますしね」と出来は悪くなかったとコメントした。
バウアーは「ダメージを最小限にして、試合を作ることはできたのではないかなと思います」と第一声。雨上がり後の蒸し暑いマウンドにも「特に影響はなかったですし、球速も出ていたので」とサラリと言ってのけ、「調子自体は悪くなかったと思います。ヒットの数は多かったですけど、強い当たりはそんなに多くなかったと思います」と振り返り、QSを達成できたことには一定の自己評価をしていた。
その一方で、エキサイトした6回の場面には「一番はシチュエーションに関してすごく腹が立ちました。特別誰に腹が立ったということはないのですが、強いて言えば自分自身というのもあります」とコメント。
さらに「あのイニングは自分としてもいいピッチングができていなかったと思いますし、エラーも、ヒットと記録されているかも知れませんけど、自分自身のエラーもありました。不運もありましたし」と続け、記録上は“内野安打”となった龍空のセーフティバントの処理で一塁に正確な送球ができなかった自分自身のプレーにも言及しながら、様々なことが重なったことが原因だったと説明した。
怒りの奥底にあったのは、「優勝するチームの野球が、あのイニングはできていなかった」という想い。
「やっぱり勝ちたいと思って投げているので、そういったシチュエーションに対して、本来であれば7、8、9回と長いイニングを投げていきたいと思っていた中、ああなってしまったので、自分自身含めて腹が立ちました」とバウアー。
すべては“勝利に対するこだわり”からの行動だったと振り返った。
最後は「後半はチームとしてすごくいい野球をしていたと思います。ブルペン陣も自分たちの仕事をしてしっかりとゲームを締めて、誰も諦めていなかった。こういう展開で諦めてしまう、投げやりになってしまうことはすごく簡単なことだと思うんですけど、みんな最後まで集中していい野球をやりきった」と落ち着いてチームメイトを称える言葉も。
バウアーでも連敗ストップとはならなかったが、「よく粘って食らいついたというところを、明日に繋げていきたいと思います」と言葉に力を込めた指揮官。あすこそ、連敗を止めなければならない。
取材・文=萩原孝弘