今季初先発で勝利に導く好リード
「とりあえず一安心という感じですね。少ないチャンスをモノにしていかないといけないので、もっともっと頑張んないといけないなという感じです」。
ロッテの柿沼友哉は今季初先発となった1日の楽天戦で、先発・種市篤暉をはじめ3投手を好リードし3連敗中だったチームに勝利をもたらした。
一軍の公式戦では20年8月1日の楽天戦以来となった“柿の種バッテリー”は、初回にいきなり2点を失うなど苦しい立ち上がりになったが、「種市自身、本調子じゃなかったと思うんですけど、その中でお互い話しながら修正できるようにというふうにできたので、そこは良かったと思います」(柿沼)と、2回以降はリズムの良い投球で7回を2失点にまとめた。
柿沼は打っても3-2の4回二死走者なしの第2打席、辛島航が1ボールから投じた2球目のストレートをレフト前に弾き返し今季初安打をマーク。この安打をきっかけに続く和田康士朗が四球を選び、岡大海の3ランに繋げた。
「勝てたことで次につながりますし、一番、チームも連敗していてそれもストップできたのも大きいんじゃないかなと思います」。
今季開幕からファームで過ごしてきた柿沼にとっては、次に繋がる大きな1勝となった。
ファームでもチャンスに備えて
19年に一軍定着した柿沼ではあるが、20年以降“正捕手”を掴むチャンスはあったものの、掴むことができなかった。
今年2月の春季キャンプでは、「若い選手が出てきて年齢的にも上になってきて、チャンスも多くないと思うので、どうやってそのチャンスをものにするか、今までチャンスをもらってきたのでそこでチャンスを掴みきれなかった分、立場は苦しいと思いますけど、なんとかまだチャンスはあると思うので、なんとか食らいついていくという感じでいきたい」と、ワンチャンスに賭ける覚悟だった。
オープン戦で2試合に出場したが、開幕は二軍スタート。「開幕は悔しいことにファームだったので、やることは変わらずいつ呼ばれてもいいように、一生懸命野球に取り組んだという感じですね」。ファームには開幕直後に降格した松川虎生、大卒4年目の植田将太、育成3年目の谷川唯人など、若い捕手陣がここ数年で増えた。
「基本的にやることは上と下でも変わらないので、自分が上手くなるために、チームの勝ちに自分がどうやって貢献できるかを取り組んできたという感じです」。
若手が増えたことでファームでも、毎試合スタメンでマスクを被るというわけではなかった。一塁でスタメン出場する日や、練習試合では外野でも出場した。捕手以外のポジションで出場することが、柿沼にとって新たな発見にもなった。
「チームの事情もあったので、その中で自分の新たな挑戦として違う視点でキャッチャーを見る。相手バッターを見る、新しい発見ができればいいなという意識で守っていました」。
腐ることなく、一塁や外野のポジションから“捕手”としての勉強を行った。
交流戦明けの6月20日にZOZOマリンスタジアムでの一軍練習に参加すると、リーグ戦再開後初戦となった6月23日に一軍昇格。6月28日のオリックス戦で今季初出場を果たし、1日の楽天戦で今季初先発しチームを勝利に導いた。
振り返れば、一軍に定着した19年も開幕二軍スタートもシーズン途中に昇格し、そこから少ないチャンスをモノにしていった。「力まずじゃないですけど、もらえたチャンスを4年前同様どうやって生かすかだと思うので、一生懸命やるだけです」と柿沼。
「少ないチャンスをモノにしていって出場機会を増やしていければなと思います」。田村龍弘、佐藤都志也の2人が開幕からマスクを被り続けてきた中で、5月で30歳となり中堅と呼ばれる年齢に差し掛かってきた柿沼も、少ないチャンスでアピールし出場機会を増やしていきたいところだ。
取材・文=岩下雄太