移籍後初勝利
ロッテの西村天裕が4日の西武戦で、移籍後初勝利を挙げた。
西村は0-0の11回に登板し、先頭の源田壮亮を外角の145キロストレートで見逃し三振に仕留めると、続く外崎修汰も148キロのストレートで空振り三振を奪い、簡単に2アウトとする。マキノンに二塁打、呉念庭に四球を与えたが、岸潤一郎を右飛に打ち取り、無失点に抑えた。その裏、ポランコが押し出し四球を選びサヨナラ勝ちし、西村は移籍後初勝利を手にした。
西村は開幕前の3月に福田光輝とのトレードで日本ハムから加入。開幕一軍を逃したものの、開幕直後に一軍昇格すると、ビハインドゲームで結果を残していき、5月6日のソフトバンク戦では初めてホールドがつく場面で登板。5月以降はビハインドだけでなく、勝ち試合の7回を投げる日があるなど、開幕から21試合無失点に抑えた。
初失点後、初めての登板となった6月15日の中日戦は1-1の8回から登板し、1回を無失点。「その試合はその試合、次の試合は引きずっていないので、そこは全然切り替えています」と、初失点した6月10日の広島戦の登板を引きずることなく自分の仕事を果たした。また、「しっかりそこはコースを投げ切れていたので、良かったと思います」と、岡林勇希を見逃し三振に仕留めた外角150キロのストレートを始め、左打者のアウトコースのストレートが非常に素晴らしかった。
西村はここまで26試合・26イニングを投げて、1勝0敗8ホールド、防御率0.69とマリーンズのブルペンに欠かせない存在となっている。
今季の目標を50登板以上と掲げた理由
西村は3月7日に行われた入団会見で今季の目標に“50試合登板以上”を掲げていた。
4日の登板で今季26試合となり、すでに目標の登板数の半分を超えた。ここまでは「無我夢中に1試合1試合自分のピッチングをしているという感じですね」と、与えられた場面で全力を尽くしている。
これまでのシーズン自己最多登板が19年の35試合ということを考えれば、開幕から一軍で投げ続けている今季、疲労が心配になる。「疲労はあるんじゃないですかね。そこは誰もが持っているので、うまいこと自分でしっかりケアしながらやっていくということです」とケロリとした表情。このペースで投げられれば、目標の50試合登板は達成可能だ。
そもそも、なぜ今季の目標を50試合登板以上にしたのかー―。
西村によると「今まで明確に(目標を)作ったことがなくて、ハムの時に加藤さんが50試合以上投げたら、“加藤賞”を言ってくれたので、50試合以上登板に掲げてやりますということで、というのもありますね」と、日本ハム時代のチームメイトで西村にとって1学年先輩にあたる日本ハム・加藤貴之がきっかけのようだ。
西村はトレードで日本ハムからロッテに移籍したが、“加藤賞”は「あるらしいです」とのこと。「(欲しいものは)まだ何も決まっていないので、達成したら考えます」と、50試合登板を達成した時に欲しいものを考える予定だ。
「しっかりいい流れの時は、いい流れで次のピッチャーに繋げるように。流れ悪い時は自分が変えられるようにやっていきたいと思います」。目標を達成してオフには“加藤賞”、そしてリーグ優勝争いの激しさが増す8月以降も今のような安定した投球を披露して欲しいところだ。
取材・文=岩下雄太