【第94回都市対抗野球大会・準々決勝】
○ トヨタ自動車　5 － 1　日本通運 ●
（22日・東京ドーム）

　昨秋の日本選手権を制したトヨタ自動車（豊田市）は日本通運（さいたま市）を下し、2年連続でベスト4進出。エース・嘉陽宗一郎投手（27）が9回3安打1失点、無四球で2試合連続完投勝利を飾った。

　圧巻だった。初回は2つの三振を奪うなど、無失点の好スタートを切ると、6回まで一人の走者も許さぬ完全投球を披露。しかし7回、先頭の添田に二塁打を許し、偉業達成とはならず。この日初めて走者を背負うと、その後一死一・二塁から4番・森松に右前適時打を浴びた。1点こそ失ったが、その後は要所を締めて相手打線を寄せ付けず。「投げていないピッチャーもいるのでどうするかという話にはなったんですけど、行かせてくれと伝えました」と志願の続投で、最後までマウンドを守った。

　抜群のスタミナを発揮した。今年に入り、投手陣は「連投できる体力、先発ピッチャーだと1試合完投できる体力」を課題に挙げ、“体力アップ”と“タフネス”をテーマに「100球以上の投げ込み、その次の日も連投で50球以上投げたりという練習をやってきた」。その日々の努力が実を結び、ホンダ（寄居町・小川町）との1回戦に続き、2試合連続の完投勝利をマーク。「今日は入りからずっとよかったですし、カットボール、チェンジアップもコントロールできていた。2試合連続完投は自分としても自信になりましたし、チームとしてもいい方向に向かうんじゃないのかなと思います」と胸を張った。
　
　次戦は24日の第1試合、決勝進出をかけて東海理化（豊川市）とJR東日本（東京都）の勝者と対戦する。「目標は都市対抗優勝なので、まだ通過点。まずは準決勝、厳しい試合になると思うので、投手陣でしっかり勝たせられるような試合をしたい」。悲願の黒獅子旗奪還まで、あと2勝。背番号20に期待せずにはいられない。

取材・文＝灰原万由（はいばら・まゆ）