ロッテ・吉井監督(C)Kyodo News

 「一晩、考えたけど、いいものは思いつかなかった」

 ロッテ・吉井理人監督が25日、報道陣を前に頭を抱えた。

 大黒柱である佐々木朗希投手が前日のソフトバンク戦に登板後、異変を訴えた結果は「左脇腹の肉離れ」で全治2カ月の診断。一部マスコミでは「今季絶望」の見出しが躍った。

 7月26日現在(以下同じ)パ・リーグの2位につけるロッテは首位のオリックスと3ゲーム差。絶対的右腕の長期離脱はあまりに痛い。
 佐々木朗のここまでの成績は7勝2敗。防御率1.48に奪三振130と、全ての部門で図抜けていただけに、指揮官が対応策を考えても妙案は浮かぶはずもない。いくら「やりくり上手」の監督とは言え、それも絶対エースがいての話。若手にチャンスを与えながら、活路を見出すようだが、25日からの西武2連戦には2連敗。“佐々木ショック”から抜け出せないようだと、ズルズルと後退もあり得る。まさに正念場である。

◆ 秋の天王山に向けた陣容をいかに整えるか

 長丁場のペナントレースも、勝負の時が近づいている。

 各チーム共に、90試合から110試合近くを消化する「8月の陣」は、猛暑の疲れもあって故障者や誤算が相次ぐ時期だ。

 上位チームだけを見渡しても、オリックスは正捕手の森友哉選手が左太腿の筋挫傷で7月上旬から戦列離脱中なら、ソフトバンクの中継ぎエースであるリバン・モイネロは左肘の手術を受けて復帰のめどが立たない。

 セ・リーグでも、首位を行く阪神はエース格の青柳晃洋、西勇輝両投手が一軍と二軍を行ったり来たり。その阪神を猛追する広島では4番を任せていた西川龍馬選手が右脇腹の肉離れで離脱中。3位を行くDeNAでは緊急トレードも行われている。太腿の故障でフル出場の難しい宮﨑敏郎選手の状態を考慮して、ヤクルトから西浦直亨選手を獲得、自軍からは阪口皓亮投手を放出してでも内野陣と打線の強化に舵を切った。

 こうして見て来ると、改めてペナントレースには誤算がつきものと実感させられる。ここに新外国人選手の誤算などが加われば、先行きは不透明だ。それでも100試合を過ぎたあたりからは、シーズン中盤までの誤算を修正して、秋の天王山に向けた陣容をいかに整えるか、指揮官の危機管理能力が問われる。

◆ 正念場の8月、勝負の9月へ

 春先の快進撃から、打線の不振で苦戦の続く阪神にあって、佐藤輝明選手の復調が目覚ましい。25日からの対巨人3連戦では、佐藤と大山悠輔両主砲のバットで勝ち越しを決めた。

 この佐藤に対して、岡田彰布監督は春先から、辛口の評価を下して一時はファームに降格を命じている。これで尻に火がついたのなら、指揮官の思惑通りに復活劇が成し遂げられたことになる。

 全員野球を標榜する広島の新井貴浩監督は西川や菊池涼介選手らが不在の打線で4番に日頃は控え要員だった上本崇司選手を大抜擢、これが的中するのだから予想以上の躍進もうなずける。

 現在の野球は先発投手には中6日以上の十分な休養を与え、登板過多になりやすいクローザーにも3連投以上はさせずに酷使を避けている。すでにオリックス、ロッテ、広島などではダブルストッパーを模索。これも大詰めの勝負を睨んでの布石と言える。

 昨季のパ・リーグでは、ソフトバンクが先に王手をかけながら連敗して、オリックスが栄冠を手にしたのは記憶に新しい。今年はどんなドラマが待っているのか?

 それにしても佐々木朗を欠いたロッテの今後の戦いが気になる。仮に全治2カ月が本当ならポストシーズンの10月にはぎりぎり間に合う計算も成り立つ。

 奇跡の復活で下剋上。こんなシナリオは野球の神様でも描けないだろう。

 正念場の8月、勝負の9月へ。指揮官たちの知恵比べはますます激しさを増して行く。

文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

【荒川和夫・プロフィール】
1975年スポーツニッポン新聞社入社。野球担当として巨人、西武、ロッテ、横浜大洋(現DeNA)等を歴任。その後運動部長、編集局長、広告局長等を経て現在はスポーツライターとして活動中。

この記事を書いたのは

荒川和夫

1975年スポーツニッポン新聞社入社。野球担当として巨人、西武、ロッテ、横浜大洋(現DeNA)等を歴任。その後運動部長、編集局長、広告局長等を経て現在はスポーツライターとして活動中

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