東の力投に野手が応えた！

　奇跡の逆転優勝へ向けた、首位・阪神との真夏の3連戦。僅差のゲームを制する原動力となったのは、東克樹の気迫と崖っぷちに立ったナインの集中力だった。

　先発の東克樹は初回から3安打を浴びて先制点を許す苦しい立ち上がりとなるも、2回以降は味方の好守にも支えられてゼロ行進。3回は宮﨑敏郎が森下翔太の三遊間への当たりをダイビングキャッチで三ゴロに仕留め、5回には近本光司の一二塁間へのゴロを牧秀悟が阻止。さらに1－1で迎えた7回にも先頭で打席に入ったシェルドン・ノイジーの安打性の打球を好ポジショニングで二ゴロにした。

　しかし、その7回は一死から佐藤輝明の安打を皮切りに一死満塁の大ピンチ。東も球数が100に近づいて左足をつりかけるような素振りも見られたが、代打のヨハン・ミエセスに粘られながらも根負けすることなく気迫で攻め込み、最後は三塁線を襲う鋭い打球を宮﨑が見事に反応。逆シングルで捌く好プレーで併殺に仕留め、勝ち越し点を許さなかった。


　するとその裏、二死走者なしからこの日一軍に昇格したばかりの梶原昂希が安打で出ると、続く山本祐大が左中間を破る二塁打。東の力投に女房役が応え、一塁走者の梶原が一気に生還。この1点が決勝点となり、7回1失点の東に勝ち星がついた。

指揮官「熱盛のオンパレード」

　三浦大輔監督は東の投球に対して、「立ち上がりに点は取られましたけど、2点目を与えずに我慢強く投げたと思います」とコメント。

　7回の大ピンチにも「あそこは気合だと思います。気持ちがボールに乗り移ってダブルプレーになったと思います」とし、足をつりかけながらも投げ抜いた執念を称えた。


　思えば前回の阪神戦では守備の綻びも散見され、屈辱の3連敗を喫していた。

　指揮官は「みんなが集中して毎試合やっている中で、前回はここで勝てなかった。みんな悔しい思いしました。チームとして悔しいわけですから、それはグラウンドで返すしかないです」と過去の悔しさにも触れながら、一転して好プレーが続出したこの日の試合に「熱盛のオンパレードで、独占するんじゃないかな」と饒舌に語った。

　続けて「宮﨑も牧も、ソトもよく伸びてカバーしましたし、京田も止めたからこそ点が入らなかった。外野も梶原が二塁打になるところをシングルで止めたり。良く守ったと思います」と改めて見事な守りを見せた野手陣を称えつつ、「こういう形で結果に現れて、しかも勝ちに結びついた。チームにとっては大きな1勝」と今回の勝利の価値を強調した。


　良い形でカード初戦を取ったが、最後は「まだ一つ取っただけ」と冷静に言い切った三浦監督。

　奇跡を起こすためには、あすも当然負けられない。


取材・文＝萩原孝弘