楽天・松井から二塁打
ロッテの和田康士朗は、代走出場がメインで昨季は先発出場がわずか3試合だったが、今季はここまで19試合に先発出場し、打席数はプロ入り後シーズン自己最多の79打席に立っている。
7月29日のソフトバンク戦、左の大関友久のストレートをライトホームランテラスにプロ初本塁打を放てば、途中出場した8月20日の楽天戦、3-3の9回に守護神・松井裕樹が2ボール1ストライクから投じた3球目の148キロストレートを振り抜き右中間に二塁打。このチャンスメイクをきっかけに、荻野貴司の決勝打に繋げた。少しずつではあるが、打撃面でも成長した姿を見せている。
特にこの二塁打は和田が今年よく口にしている「コンパクトなスイング」ができ、取り組んできた成果を発揮できた打席にも見えた。「今までの僕だったら、甘い球が来たと思って力んでブンブン振っていたと思うんですけど、今年の練習を活かすことができたのかなと思います」と振り返る。
ライト前の安打を武器である足を活かして二塁打にしたように見えたが、「打った瞬間、右中間だったので二塁打というより三塁へいく気持ちで走っていました」と、三塁を狙っていたそうだ。
「逆方向に低く速い打球」
足を活かしたバッティングーー。
和田は今季、コンパクトなスイングにスタイルチェンジしたのも、足を活かしていくため。具体的に、足を活かしたバッティングについて和田は「低いライナー、速いゴロという感じですね」と話す。
確かに試合前の打撃練習では左中間にライナー性の打球が多い。「試合になるとどうしても引っ張り方向の打球が多くなっちゃうので、練習で意識的に流している感じですね」。
振り返れば2018年に当時ロッテで二軍打撃コーチを担当していた大村巌コーチ(現DeNAコーチ)をきっかけに、筒香嘉智から練習で反対方向に打つことの重要性を教わり、そこから試合前の打撃練習では反対方向に打つようになった。
筒香から教わった時と、今で反対方向へ打つ意識において違いはあるのだろうかーー。
「あの時は知識がない中で話を聞いていたので、逆方向に打っておけばいいんだという感じだったんですけど、今は逆方向に低く速い打球というのを心がけています」。
ライナー性の打球が増えれば、和田の特徴を活かしたバッティングができる。
「低いライナーを打てば外野の間を抜けることが多くなると思うので、二塁打、三塁打を増やしていけたらいいなと思います」。
大事なシーズン最終盤、代走、守備固めでの登場が多くなりそうだが、「代走から打席が多くなると思うので、その1打席でしっかり自分の持ち味を発揮できたらいいなと思います」。走塁だけでなく、バットでもチームの勝ちに繋がる安打を放ちたい。
取材・文=岩下雄太