一軍完走間近
「開幕からベンチに入れていただいて、全く打てない時期もあったんですけど、その中でも一軍にいさせていただいていた」。
移籍5年目の今季初めて開幕一軍を掴んだロッテ・茶谷健太は、1度もファームに落ちることなく、一軍フル完走目前だ。
今季は「いろいろなポジションを守らせていただいているので、毎日内野全ポジションを練習でやっています。どういう場面、どういう状況、どこでも守れるように準備しています」と、試合前練習では内野の全ポジションノックを受ける日もあれば、全体練習後に友杉篤輝らと共に小坂誠コーチのノックを受けることも多い。
「守備から入っていかなくちゃいけない人間。まずは守備でどんな場面、どんな状況でも、とにかくどこでも出られるようにと思ってやっています」。高い守備力を誇る裏には、試合に向けた入念な準備があった。内野の全ポジションで出場し、失策数は一塁(44試合)での2つのみで、二塁(8試合)、三塁(10試合)、遊撃(12試合)での失策は0だ。
左投手の打率.354
打撃では、試合前のフリー打撃の時にバントをする選手は少ないが、「失敗したりとかもしている。ピッチャーの投げる球が一番練習になると思っているので、多めに入れてもらっています」と、試合を想定して打撃投手が投げるボールに対してバントを時折入れる。
バントだけでなく、バットでも5月は月間打率.350(40-14)、8月も月間打率.368(19-7)と結果を残している。9月2日の楽天戦では、1-0の2回一死一塁の第1打席、田中将大が1ボール2ストライクから空振りを奪いにいった低めの138キロスプリットを見送って、続く5球目のインコース147キロツーシームをうまく肘をたたんで左中間に破る適時二塁打は見事だった。
「あれはたまたま打てたので良かったんですけど、その後の試合に出させていただいた時にヒットを打てなかった。出させていただいた時になんとか打てるように」と、田中から安打を放ったことよりも、『7番・遊撃』で先発出場した9月7日のソフトバンク戦で無安打だったことを反省した。
また、左投手に抜群の強さを誇る。去年左投手に対して打率.350(40-14)をマークしたが、今季も左投手に打率.354(48-17)の強さを誇る。茶谷は「得意とかはないですけど、たまたまそういう結果になっている。特にいいとか嫌だとかはないです」とのこと。内野全ポジションを守ることと、左投手に強いことは茶谷の武器になりそうだが、本人は「それはどうなんですかね、左ピッチャーが少ないので」と謙虚に答えた。
残りは14試合。一軍フル完走と共に、来季に繋がる活躍を見せたいところ。「出たところでなんとかチームに貢献できるように出せればと思います」と意気込んだ。
取材・文=岩下雄太