涙の会見
先日ユニフォームを脱ぐ決意を示した“ハマの牛若丸”こと藤田一也内野手の引退会見が22日、球団事務所にて行われた。
藤田は「皆さんお忙しい中、集まって頂きありがとうございます。わたくし藤田一也は今シーズンを持ち、現役生活を引退する決意をいたしました」と第一声。
続けて「自分の持ち味である守備が、自分の思うプレーができなくなったので。やっぱりベイスターズに帰ってきて、サードやファーストを守ることが多くなって、自分の中ではショート、セカンドで試合に出たい気持ちがこの歳になってもあったので。この守備ができなくなったことによって、もう引退かなと思うようになりました」と楽天時代“10勝以上稼いだ"と故・星野仙一監督に称えられた守備に陰りが見えたことを引退の理由に挙げた。
子どもたちには「一年でも長く」と現役を期待させてたが「もうパパはお腹いっぱい野球したから」と伝え、家族からも「よくこの歳までやれたねと言っていただいたので、本当に感謝しています」とコメント。
「監督コーチ、裏方さんトレーナーさん、ほんとすごい迷惑かけたし支えてくれた。そういう人たちに感謝しかないし、先輩方、後輩方、同級生と切磋琢磨したからこそ、今日までプレーできたし。そういう仲間がいなければここまでできていなかったと思うので、本当に選手のみんなにも感謝しています」とチーム関係者の全員に謝意を述べた。
横浜のファンに「ファンの皆様にも本当に自分がいいプレーしたときとか打席に立つ前に凄い鳥肌の立つような声援で背中を押してくれました。感謝しています。ありがとうございます。復帰したときの一打席目の声援は、忘れられないし。そこで横浜に人たちの前でヒット打てたことは自分野球人生の中でも心に残っていると今でも思っています」と感謝。さらに「楽天イーグルスで優勝、日本一を経験させていただいて、野球選手として成長させてもらったと思っているし、イーグルス仙台でのプレーは自分を大きくさせてくれたのかな。イーグルスの関係者、監督コーチ、ファンの皆様にも本当に感謝しています」と仙台のファンや関係者に対しても御礼の言葉を送ることも忘れなかった。
27日の試合後には引退セレモニーも予定されており「そこでしっかり感謝の気持ちを伝えたい」と直接ファンに伝えたいとし「まぁいっぱい泣くと思うんで、いっぱい写真撮っておいてください」と自虐気味に要望し笑いを誘っていた。
チームは現在3位ながら、2位の広島と4位の巨人と熾烈なCS争い真っ只中で「現役選手として(リーグ)優勝してビールかけは叶わなかったですけど、まだCSで勝ち上がることによってみんなとビールかけをするチャンスはまだ残っているので、それを実現できるように。最後にベイスターズのユニフォームで引退できる幸せを噛み締めて、あとの残り試合をプレーしたいなと思います」と言葉に力を込めた藤田一也。
ベイスターズを誰よりも愛し続けた41歳の戦いは、まだまだ終わらない。
取材・文=萩原孝弘