流れを断ち切った宮城滝太と石川達也を指揮官も絶賛
DeNAは29日、本拠地での阪神戦に5-3で勝利。三浦大輔監督の執念の継投が実り、接戦を制してクライマックスシリーズ進出を決めた。
この日は打線が初回から阪神先発の青柳晃洋に襲い掛かり、宮﨑敏郎の適時打で幸先良く先制に成功。しかし、先発・石田健大は2回先頭の大山悠輔に特大のソロを浴びて試合を振り出しに戻されると、なおもピンチで木浪聖也に犠飛を許して2失点。一気に逆転を許してしまう。4回にも佐藤輝明の二塁打をキッカケにピンチを招き、坂本誠志郎の犠飛でもう1点。1-3とリードを拡大された。
それでもその直後の4回裏、制球に苦しむ青柳を攻めて一死一・三塁のチャンスを作ると、関根大気の適時打で反撃開始。続く佐野恵太の犠飛で追いつき、二死一・三塁から宮﨑敏郎がライト線への適時二塁打。この回3得点で4-3と試合をひっくり返した。
ところが、援護をもらった石田に立ち直りの気配は見えず、5回表は先頭からの3連打でたちまち無死満塁。森下翔太を三振に斬って一死を取ったところで、一塁ベンチの三浦監督が動いた。まず4番・大山悠輔のところで宮城滝太をマウンドに送り、低めの149キロで見逃し三振に仕留めると、二死満塁から2安打の佐藤を迎えるところで今度は左腕の石川達也を投入。ここも148キロの速球で空振り三振を奪い、3投手による3者連続三振で最大のピンチをしのいだ。
指揮官はこの後も7回に前の回からイニングを跨いだ伊勢大夢が内野安打で走者を出したところでエドウィン・エスコバーにスパッと交代。見事に無失点リリーフでリードを守ると、8回も同様にイニングを跨いだエスコバーが二死からシェルドン・ノイジーを歩かせたところで上茶谷大河へ交代。ここは内野安打と暴投で二死二・三塁の大ピンチを招いたが、最後は木浪を二ゴロに打ち取ってリードは死守。計7投手による執念のリレーで見事に逃げ切った。
三浦監督は試合後、まず5回の継投について「伊勢も上茶谷もちょっと早かったので、若い力に賭けた」と説明。続けて「宮城は大変なところでしたけど、若さで思い切って最高のボールを投げて最高の結果を出してくれました。石川もあそこ一人というところで最高のピッチングをしてくれました」と2人の働きぶりを絶賛しつつ、「若い投手が頑張ってくれたことが大きい。今後の野球人生にとってもひとつ大きなものになるかなと。これを何かキッカケにしてもらいたいですね」と目を細めた。
一方、この勝利でCS進出が決定したことに関しては「決まったのは良かったですけど、選手は誰一人満足していない。ひとつの目標が消えてからは、もうひとつの目標に向かって行っているところですから」と改めて気を引き締めた指揮官。今季もあと3試合、死力を尽くして全勝を狙う。
取材・文=萩原孝弘