最終打席は左飛「僕はこんなものかなと思いました」
今季限りで現役を引退をするヤクルトの荒木貴裕が30日、神宮で行われたDeNA戦の7回に代打で出場。結果は空振り三振に終わったが、現役最後の雄姿にファンもチームメイトも大きな拍手を送った。
荒木はそのまま一塁の守備に就き、9回裏に巡ってきた第2打席は良い当たりの左飛。「会心だったんですけど、僕はこんなものかなと思いました」と笑ったが、最後までスタンドのファンを沸かせた。
試合前の練習では、チームメイト一人ひとりに「今までありがとうございました」と挨拶したというプロ14年目の36歳。主砲の村上宗隆らと談笑する姿も。試合に向けては「最後ということもありますし、緊張しているというのが素直な気持ちです」と語っていた荒木。そして何よりファンに向けて「今までの感謝の気持ちを持ってプレーできればいいなと思います」と意気込み、現役最後の日を迎えた。
試合は先発のサイスニードが6回3安打無失点と好投。打線はDeNA先発・今永昇太に対し、初回から濱田太貴とホセ・オスナの適時打で2点を奪い、リードを保ったまま終盤戦を迎えた。
しかし、7回無死一塁の場面で宮﨑敏郎のゴロを処理した村上が二塁へ悪送球したのをきっかけに2点を奪われて同点にされてしまうと、9回は守護神の田口麗斗がネフタリ・ソトに勝ち越しの14号2ランを被弾。逆転を許し、そのまま2-4で敗れた。
試合後、髙津臣吾監督は現役引退の荒木を「大学を出て14年もプロの世界でプレーするのはなかなか簡単なことじゃない。よく頑張ったと思います」と称え、「口数はそんなに多くないですけど、やることは渋いというか、言葉は悪いですが何をやらせてもそれなりにできてしまう選手。だからこちらが甘えてしまって、何かあったら荒木、何かあったら荒木、と名前を呼び続けた選手」と献身的な姿勢でチームに貢献してきた姿を評価した。
「やっぱりあらためてファンの人の声援に支えられてやってきたんだなと思います」と感慨深く語った背番号10は試合後、チームメイトの手によって胴上げされ、スタンドのファンに別れを告げた。
取材・文=別府勉(べっぷ・つとむ)