齊藤明雄氏も坂本の“度胸”を絶賛
ロッテは30日、本拠地での西武戦に5-4でサヨナラ勝ち。延長にもつれた熱戦は10回裏、代打・石川慎吾の適時打で劇的な決着を迎えた。
試合を決したヒーローが石川なら、その望みをつないだのが9回に5番手としてリリーフ登板した坂本光士郎だ。4-4の同点で迎えた9回表、ロッテベンチは守護神の益田直也にマウンドを託したものの、先頭の安打を皮切りに犠打での一死を挟み、さらに四死球により満塁の大ピンチを招いてしまう。
打席にはこの試合2安打を放っている鈴木将平。初球のストレートと2球目のシンカーがボールと判断されると、一塁ベンチから吉井理人監督が登場。一死満塁の2ボールという状況で、対戦途中での投手交代を告げた。
それでも、この窮地を任された坂本光士郎は鈴木を151キロのストレートで空振り三振に仕留めると、続く外崎修汰も空振り三振に斬って完璧に火消し。ベンチで涙を浮かべていた益田にもガッツポーズが飛び出した。
30日放送のCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』でも、吉井監督の執念の采配が話題に。解説者の齊藤明雄氏は「出された坂本は緊張しますよね。どうなるのかなという感じで見ていましたが、本当に度胸良く、開き直って真ん中に思い切って投げた。その結果が連続三振でしたね」と左腕の強心臓ぶりを称えた。
一方で、益田については「この代わり方はちょっと心配ですね……」と言及。同じく番組に出演した館山昌平氏も「ここまでロッテが良い位置で戦うことができているのは益田選手のおかげですから」とベテランを労いつつも、「ただ、この9月は防御率9点台と良くない。その中で坂本選手は9月の防御率が1点台と急成長を見せていましたから。その勢いを買ったというところだと思います」と吉井監督の勝負手を解説した。
クライマックスシリーズの出場権を争うソフトバンクと楽天が揃って勝利を挙げたことで、劇的勝利も4位という順位は変わらず。それでも、不調の守護神を全員でカバーして掴んだ一勝の価値は大きい。
泣いても笑っても残り7試合。ポストシーズンに滑り込み、得意の“下剋上”を実現するために、ひとつも落とせない戦いが続いていく。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2023』